エアコンのない夏はもう終わり?!

パリ中心地の家電量販店に並ぶ移動式冷房機。
この原稿を書いている7月頭は、5月末から断続的にフランス全土を襲った記録的な酷暑がようやく一段落したところ……と思いきや、再び気温が上がり、パリでは最高気温が35℃近くまでになる日が続いています。この記事が掲載される9月には、「あんなに暑かった夏も終わったね」と穏やかに振り返ることができているといいのですが、今はとにかく「暑い」のひと言です。
フランスでは、2003年の歴史的な猛暑以降、canicule(カニキュル=熱波)という言葉をよく耳にするようになりました。2006年や2019年、そして2022年などにも厳しい暑さを経験してきましたが、今年の驚異的な暑さは(しかも5月末!)、日本のうだるような暑さを知っている私ですら、41℃を体験し、「これまでとは何かが違う」と感じるレベルでした。扇風機だけでは耐えられず、排熱ホース付きの移動式冷房機を買い求める人が急増しました。6月については、観測史上でも異例の高温が各地で記録され、政府も熱波への対応を見直すため関係閣僚による会議を開くなど、本格的な対策に乗り出さざるを得ない状況になりました。
その背景にあるのが、フランスのエアコン事情です。90%という日本の普及率に対して、フランスではたったの24%(フランス環境・エネルギー管理庁2025年調査)で、およそ4軒に1軒の割合と言われています。ちなみに、スペインとイタリアは約40%。ホテルや大きな施設を除けば、学校やカフェ、小さな商店にはエアコンがないことも珍しくありません。もともと乾燥した気候で、古い石造りの建物は夏でも外熱を遮断するため、比較的涼しく過ごせていたことが普及率の低さの大きな理由でした。が、それに加え、エアコンは環境負荷が大きいという考え方や、室外機が街の景観を損ねるという意見も根強く、積極的に設置されてきませんでした。
2003年のカニキュル以降は、鉄や木製の雨戸を閉め切り、1日中太陽光を遮断したり、エアコンが効いている美術館やデパート、映画館に避難したりといった応急的な対策が求められてきましたが、ここ数年は、暑さのために学校での授業が十分に行えなかったり、特に高齢者の熱中症による死亡件数が増えたりと、我慢すればよいでは済まされない場面が増えています。エアコンを増やせば電力消費や都市のヒートアイランド現象を招くという懸念はわかりますが、個人的には、今後エアコンは必須であり、快適さと環境負荷のバランスを取るための検討をするべきだと思います。



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