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「アクチュアリテ 社会」桜井道子(トリコロル・パリ)

中学校での携帯電話使用にNON!


実際に配布された電波遮断ポーチの例。ロック/解除のボタンは、衣料品などに取り付けられる盗難防止タグと同じマグネット方式。

 私の住むパリの隣町にある公立中学では、2026年1月から校内で携帯電話を使えなくするため、全生徒に特別なポーチが配布されました。生徒は登校時に自分の携帯電話やスマートウォッチをこのポーチに入れ、入口にいる監視員に見せてから校内に入ります。ちなみに、スマホを持って来ない生徒は事前に保護者が学校に通知すれば何もしなくてもOKです。このポーチは、一度ボタンをはめるとロックされ開けられない仕組みになっており、生徒は学校にいる間、ポーチを自分で持ち歩きます。さらに電波遮断機能が搭載されているため、電源がオンの状態でも授業中に電話が鳴ったりメッセージが届いたりすることはありません。下校時には、玄関ホールに設置された専用端末でポーチのロックを解除してから帰宅します。ポーチは生徒に無償で貸与され、卒業時には学校に返却されます。

 スマホが子どもたちに与える悪影響を懸念して、フランスでは2018年に「学校教育機関における携帯電話使用の規制に関する法律」が施行され、幼稚園・小学校・中学校での携帯電話の使用が禁止されました。しかし、実際には監視の目が行き届かない休み時間や給食時間にこっそり使えるなど逃げ道が多く、十分に徹底されていませんでした。この状況を改善するべく、2024〜2025年度には、校内で携帯電話を確実に隔離するPortable en pause(携帯電話休止)の取り組みが約100校で試験的に導入されました。その結果、学校の雰囲気の改善、生徒の集中力の向上、心身の安定、ネットいじめやSNSに関連するトラブルの減少が報告されました。こうして2025〜2026年度からはこの取り組みが全国の中学校で義務付けられました。共同保管箱やロッカーなど、隔離の方法は学校と管轄県が自由に選択できますが、1個あたり約12ユーロと比較的安価なポーチを採用する学校が多いようです。

 2026年1月には、フランスの国民議会(下院)で、高校における携帯電話使用を禁止する法案が可決されました。同じ法案には、国が有害と判断したSNSを15歳未満の子どもが利用することを禁じる内容も含まれており、2026年9月からの実施を目指しています。スマホやSNSの中毒性、子どもたちのメンタルヘルスや学力への悪影響に警鐘を鳴らす、フランス政府の本気の取り組みが始まっています。

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著者略歴

  1. 桜井道子(さくらい・みちこ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』。

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