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「アクチュアリテ 社会」桜井道子(トリコロル・パリ)

1900年から現在まで、発展を続けるパリのメトロ

 メトロ(地下鉄)は大都市を意味する「メトロポリタン」を略したもので、今では日本人にも馴染みのある言葉になりましたね。パリに最初の地下鉄が開通したのは、今から122年前、パリ万博が開催された1900年7月のこと。それから1930年代にかけて13号線まで建設され、最新は1998年に開通した14号線なのですが、実は現在、15号線、16号線の工事が始まっており、さらには17号線、18号線の計画が進んでいます。これらの新しい路線は郊外と郊外を結ぶのが目的で、パリに隣接する県に住む人々がパリ市内を通らずに行き来できるようになるのがメリットです。

 メトロに乗るときは、まず路線図を見て、何号線の何方面に乗れば目的の駅に行けるか確認します。そして、自分の行くべき方向にある終点の駅名が書かれたホームで待つのですが、その肝心の終点駅も、延伸の影響でどんどん変わっているので要注意です。多くの路線が郊外に向けて延長されていて、たとえば、パリを南北に縦断する4号線の南の終点は1909年からずっとPorte d’Orléans駅でしたが、2013年に郊外のMairie de Montrouge駅まで延び、今年1月にはさらに南のBagneux – Lucie Aubrac駅が終点となりました。

 メトロのドアといえば手動で、私が渡仏して間もない頃は「ロケ」と呼ばれるレバーを下から上に持ち上げて開けるだけでもワクワクしたものですが、自動運転が導入され始めて、そんな風景も変わりつつあります。最初から全自動で開通した14号線のほか、2012年からは1号線が全自動化を完了し、4号線も2023年の全自動化に向けて工事が進められています。自動運転に欠かせないホームドアが設置されることで、昔ながらのホームの情緒が失われてしまうのは個人的に残念ではありますが…。

 道路の渋滞に影響されることなくスムーズに運行し、均一料金で乗り換え自由、そして朝5時半ごろから午前0時半ごろまで1日中利用できるメトロは、パリ市民にとっても旅行者にとっても最も便利な交通手段です。それと同時に、アールヌーヴォー建築で名高いギマールが手がけた美しい入口ゲートや、黄色のMの表示、路線ごとのシンボルカラー、長方形の白タイルの壁、紺地に白抜きの駅名表示など特徴的なビジュアルもあって、パリという都市を象徴する、愛すべきモニュメントの1つです。


昔ながらの佇まいを残す12号線Solférino駅のホーム

◇初出=『ふらんす』2022年7月号

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著者略歴

  1. 桜井道子(さくらい・みちこ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』。

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