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「アクチュアリテ 社会」桜井道子(トリコロル・パリ)

大人も子どももワクワクするクリスマスはもうすぐ


オスマン通りのギャラリー・ラファイエット本館に設置された巨大クリスマスツリー(2019年撮影)

 これからクリスマスまでの日々を楽しく過ごすのにぴったりなアイテムが、アドベントカレンダー Calendrier de l’Aventです。クリスマスまでの日数を数えるため、数字をふった窓を毎日ひとつずつ開けていく箱型のカレンダーで、もともとはイエス・キリストの誕生を待ち望む待降節に使われ、その期間は毎年変わるのですが、一般的に売られているのは12月1日から24日または25日まで窓があるものがほとんどです。日本では他のクリスマスグッズと比べるとそこまで定着していないようですが、フランスでは大人も子どもも、信心深い人もそうでない人も、もらうと嬉しい贈り物のひとつで、11月ごろからだんだん店先に並び始めます。窓を開けるとキャンディーや小さなおもちゃなどサプライズのお楽しみが隠されている子ども向けのものが多いですが、最近ではコスメや香水、高級チョコレート、アクセサリーなどが入った大人向けのものもどんどん充実しています。毎日窓を開けるという行為そのものが楽しいうえ、すべての窓を開けたら待望のクリスマスがやってくるという、二重にも三重にもワクワクさせてくれるアイテムです。

 イルミネーションに輝く12月のフランスでは、各地で「クリスマスマーケットMarché de Noël」が開かれます。山小屋風の屋台に並ぶオブジェやアクセサリー、おもちゃなどの品々を、熱々のホットワイン片手に眺めて歩けば、クリスマス気分がますます高まりますね。

 フランス人にとってのクリスマスは家族でお祝いをする日なので、どんなに遠く離れていても、遅くとも前日のクリスマス・イブからは家族で集まります。日本の大晦日やお正月に近いイメージです。食卓にはシャンパンやフォアグラ、生牡蠣、希少な鶏肉の丸焼きなど高級食材を使ったご馳走が並びます。デザートにはもちろん、木の切り株を模したケーキ「ビュッシュ・ドゥ・ノエル Bûche de Noël」。24日のスーパーや商店はクリスマスの買い物の追い込みで混雑したあと、夕方には早仕舞いしてしまいます。そして当日の25日は祝日。会社はもちろん、商店やカフェ、レストラン、美術館のほとんどが閉まります。とはいえパリは25日でも比較的開いているお店や施設がありますが、地方の小さな町や村では実際にすべてが閉まっていることもあり、1年にこの日だけの、厳かな静けさを味わえます。

 いろいろなことがあり過ぎた今年もついに終わりますね。それではみなさん、Joyeux Noël !

◇初出=『ふらんす』2020年12月号

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著者略歴

  1. 桜井道子(さくらい・みちこ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』。

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