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「アクチュアリテ 社会」桜井道子(トリコロル・パリ)

通り名にもっと女性の名前を!


ラスパイユ大通りのマルシェが立つ一角には2018 年、ソニア・リキエル(デザイナー)の名前が付けられた。

 フランスの通りや広場にはどんなに小さくても必ず名前(Odonyme)がついているため、スマホがなかった時代でも、通り名索引のある地図があれば目的地にたどり着けて便利でした。旅行で初めてパリを訪れた1995年に買ったパリの地図帳は、思い出に今も大切に保管しています。中世は教会や市場など、その道を通って行ける目的地の名前、17世紀以降は貴族や聖職者の名前、フランス革命のときは自由や平等など革命の理念、ナポレオンの時代は軍人や戦勝地の名前、20世紀は著名人、国や地方の名前が多くつけられました。このような通り名についての研究をOdonymieと言います。今回は人物の名を冠した通りに注目したいと思います。

フランスで通り名に使われている数の多い人物ランキング
1位:シャルル・ド・ゴール(第18代大統領)
2位:ルイ・パスツール(化学者・細菌学者)
3位:ヴィクトル・ユーゴー(作家)
4位:ジャン・ジョレス(政治家)
5位:ジャン・ムーラン(レジスタンス運動指導者)
6位:レオン・ガンベッタ(政治家)
7位:ルクレール将軍(軍人)
8位:ジュール・フェリー(政治家)
9位:フォッシュ将軍(軍人)
10位:ジョルジュ・クレマンソー(元首相)

 女性で20位以内にランクインしているのは17位のマリー・キュリー(ノーベル物理学賞・化学賞)、18位のジャンヌ・ダルク(軍人)のみで、男性の名前が大多数。例えばパリでは、2000年代の初めまで、女性の名前がつけられた通りや公園、学校、体育館などの公共施設は全体の6%にすぎませんでした。さまざまな分野で大きな功績を残したにも関わらず、男性中心の社会の中で日陰に追いやられてきた女性たちに光を当てるため、パリ市では女性の名前を優先してつける方針をとっており、現在、その割合は15%まで増えました。最近ではジュリエット・グレコ広場(歌手)やヴァージニア・ウルフ図書館(作家)などが誕生しています。

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著者略歴

  1. 桜井道子(さくらい・みちこ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』。

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