パリ五輪期間中のメトロはどうなる?
地下鉄ホームの「五輪期間中はなるべく歩こう」と呼びかけるポスター
7月26日からパリ2024オリンピックが、そして8月28日からはパラリンピックが始まります。パリ観光局の推算によれば、期間中にパリとその近郊を訪れる人の数はのべ1500万人以上と予想され、海外からの旅行者はそのおよそ1割です。パリを含むイル・ド・フランス地方の人口が約1200万人なので、この時期にパリを脱出するパリジャンたちが多少いるとしても、街が飽和状態になるのは避けられないかもしれません。
今大会の大きな見どころの一つは、パリの有名なモニュメントや歴史的な建造物を背景に競技が行われることでしょう。エッフェル塔、シャン・ド・マルス、コンコルド広場、アンヴァリッド、グラン・パレなど、まさにパリ観光の名所がオリンピックの舞台となります。競技を観戦しながら美しいパリの風景を満喫できるのは素晴らしいことなのですが、それはつまり、面積にするととても小さなパリ市内を、市民、五輪の観客、そして旅行者たちが、ぐるぐると移動することを意味します。パリ市内の移動手段で最も便利なのはメトロですが、この急激な利用者数の増加に耐えられるのか、とても気になるところです。
実際、今年の初めから、政府が「Anticiper les Jeux(五輪に備える)」というキャンペーンを始め、交通の混乱を避けるためのさまざまな情報を発信しています。1号線のチュイルリー駅、1、13号線のシャンゼリゼ・クレマンソー駅、1、8、12号線のコンコルド駅は、開幕のひと月ほど前から9月末まで完全に閉鎖するほか、マラソンなど屋外での競技開催日は、隣接するメトロの駅も随時閉まります。パリを走る14の路線のうち、五輪の影響を大きく受けて混雑が予想されるのは9路線にも及びます。運賃については、1回乗車券が通常の2.1€(約350円)から2倍近くの4€(約660円)に値上げされることが話題になりましたが、月額・年額定期の金額は変わりません。また、イル・ド・フランス内の全ゾーンをカバーする1日16€(約2660円)、1週間70€(約11600円)の乗り放題パスも販売されます。とはいえやはり、必要不可欠なとき以外はメトロを避けるというパリ市民が多くなりそうです。
市内の移動だけでもさまざまな不便が予想されますが、私はこの夏、覚悟を決めてパリに残り、100年ぶりのパリオリンピック&パラリンピックを満喫したいと思っています。