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「アクチュアリテ 社会」桜井道子(トリコロル・パリ)

ノートルダム大聖堂の塔の見学再開

 セーヌ川に浮かぶシテ島に中世の昔からたたずむノートルダム大聖堂。正面に並ぶ2つの塔は、1250年ごろに完成しました。フランス革命期には、他の教会と同じように破壊や略奪の対象となり、荒廃した状態でしたが、およそ40年後の1831年、ヴィクトル・ユゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』によって再び注目を集めます。ユゴーが大聖堂保存の大切さを世論に訴えたことをきっかけに、19世紀後半、ヴィオレ・ル・デュックらの手で大規模な修復が行われました。この物語で鐘突きのカジモドがひっそりと暮らすのが、大きな鐘のある塔の中。2019年の大火災以降、その塔の見学は休止されていましたが、2025年9月、新しい見学順路でようやく再開されました。事前に日時指定のオンライン予約をして訪れましょう。

 入口は大聖堂向かって右手の南塔。狭い螺旋階段を頑張って登ると、やがてパイプオルガンと同じ高さの「階下の部屋」に到着します。かつて礼拝堂として使われていたこの部屋では、大聖堂の模型を見たり、グッズを買ったりできます。さらに階段を上がると「四つ葉の間」に出ます。19世紀に再建された大きなオーク材の鐘楼があり、火災後には上階へアクセスしやすくするため、世界最大の木製二重螺旋階段が新たに設けられました。そこから再び螺旋階段を登り、地上およそ69メートルの南塔最上部へ。頂上では細い通路をぐるりと一周でき、再建された尖塔を眺めたり、パリの街並みを楽しんだりできます。続いて、南塔にある2つの大鐘「マリー」と「エマニュエル」を間近で見学できます。「エマニュエル」は大聖堂で最大の鐘で、フランス国内でもサクレ・クール寺院に次ぐ大きさを誇ります。その後、地上33メートルにある、2つの塔のあいだの「貯水槽の中庭」へ移動します。最上部からの360度の眺めも素晴らしいですが、この歴史ある2つの塔の間に立つときが最も感動的かもしれません。最後に北塔へ進み、8つの鐘を支える鐘楼を見学したら、階段を降りて見学終了です。合計424段の階段を登り、通路が狭いところ、天井が低く身をかがめて通る場所もあるので、体力に自信のない方や高所が苦手な方にはおすすめできませんが、可能であれば一度は訪れておきたいパリの名所のひとつです。

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著者略歴

  1. 桜井道子(さくらい・みちこ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』。

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