フランス・ヒストリックグランプリ

アレジ搭乗のフェラーリ412T2 Photo: Graham Uden / CC BY SA 4.0
オリンピック、マラソン、自転車ロードレース、サッカーのワールドカップなど、スポーツイベントの中にはフランス発祥とされているものが結構あるのだが、モータースポーツもその一つである。オリンピックは除き、その多くはスポーツ紙が企画運営したものであり、モータースポーツもマラソンや自転車ロードレースが誕生したのとほぼ同時期の1890年代に初めて開催された。当初はパリ‐ボルドー間など都市間の公道を走るレースで、自動車の耐久性を試すという意味もあった。その後、1901年にフランス南西部のポーで「グランプリ(GP)」の名を冠した市街地レースが行われ、のちに周回レースとなり、現在では世界選手権の意味で一般化している。
F1はフランス発祥というわけではないが、1950年代からフランスも開催国の一つで、人気のモータースポーツだった。育成環境が整っていることもあり数々の有名ドライバーを輩出し、エンジンサプライヤーとしてもルノーが優れた実績を残している。F1全盛期の1990年代からは、ルノーを民営化したミッテラン大統領の後押しを受けて建設されたマニクール・サーキットが会場になっていたが、アクセスの悪さや運営費用の問題から2008年にフランスGPは消滅。その後自動車大国の威信を取り戻すべくサルコジ政権時代に政府による支援プロジェクトが立ち上がるが、次のオランド政権で計画が中止になる。それから10年後、2018年にポール・リカール・サーキットでGP復活を果たしたものの、開催契約は更新されず、2022年を最後にF1からは遠ざかっていた。
F1のカレンダーから外れたとはいえ、フランスのモータースポーツ熱は冷めていない。同サーキットでは1970年代以降のフォーミュラカーによるレース、ヒストリックGPが開催されており、エンジン音を愛するファンたちを沸かせている。往年のレジェンドたちの参加も注目を集め、今年はジャック・ヴィルヌーヴが父ジルの乗っていたフェラーリ312T5に、アラン・プロストが1987年に史上最多優勝回数を更新した(当時)マクラーレンMP4/3に、サーキット運営会社の会長でもあるジャン・アレジが1995年に初優勝を成し遂げたフェラーリ412T2に搭乗する。
5月8日~10日の3日間、60台以上のF1マシンに加え、F2、F3、GTのクラシックカーによるレースやパレード、デモ走行が朝から晩まで繰り広げられる。F1全盛期のマシンが見られるヒストリックレースが毎年開催されているのは、F1のGPが開催されないフランスだけである。



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