仏サッカー、5月18日の発表と暴露
W杯ロシア大会が開幕し、各国代表チームは初戦を終えた頃だと思う。今回のフランス代表は、過去20年で最も若い(平均25歳10か月)チームで、攻撃的な編成となっている。前回大会を経験しているのは、選出された23名のうちユゴー・ロリスHugo Lloris(GK)、ポール・ポグバPaul Pogba(MF)、ブレーズ・マチュイディBlaise Matuidi(MF)、オリヴィエ・ジルーOlivier Giroud(FW)、アントワーヌ・グリエズマンAntoine Griezmann(FW) の5名で、EURO2016 の選出メンバーでは、ステーヴ・マンダンダSteeve Mandanda(GK)、サミュエル・ウムティティSamuel Umtiti(DF)、エンゴロ・カンテNʼgolo Kanté(MF)の3名が先の5名に加わる。怪我などの理由で5月18日に発表された11名の補欠組と入れ替わっている可能性もあるが、上記の経験者勢を軸に、特に攻撃陣では19歳のキリアン・エムバぺKylian Mbappé の活躍が勝利の鍵を握る。
20年前、1998年のフランス代表チームも若いチームであった(26歳2か月)。ジダンを中心にW杯初優勝を成し遂げたこのチームは、レジェンドとして語り継がれている。その1998年W杯フランス大会について、UEFA前会長でフランスを代表する名選手でもあるプラティニは、フランス代表が発表された同日に収録されたラジオ番組内のインタビューで「ちょっとした裏工作」を行っていたことを暴露した。裏工作の内容とはフランスとブラジルがそれぞれグループ首位で通過すれば決勝戦まで対戦することがないように組み合わせを考慮していたということだ。1998年大会以降の各大会を調べてみると、日韓共催となった2002年を除き、すべての大会で開催国と前回優勝国はグループリーグを首位で終えた場合、決勝戦まで対戦しないようになっている。2002年の場合も、日本と韓国はそれぞれグループ首位なら決勝戦まで対戦しない。これに対して、ブラッターFIFA 前会長は、それを定めたのは組織委員会であり、インチキではないということになぜ言及しないのかと、「裏工作magouille」という表現を使ったプラティニを批判している。
このようなプラティニの発言は98年大会のフランス優勝の価値を貶めることにもなりかねないが、98年のフランス代表メンバーであったビセンテ・リザラズも、ブラッター前会長と同様に、裏工作ではなく80年代以来の規則だと反論している。しかしもし仮に「裏工作」があったとしても、たいした驚きもないのは私だけだろうか。
◇初出=『ふらんす』2018年7月号