2018年3月号 メダル獲得数の記録更新なるか
フランスの代表的スポーツ紙レキップLʼÉquipeのウェブ版トップページ冒頭には、いくつかの旬のスポーツやスポーツイベントの特集コーナーがある。開催2週間前の時点で平昌(ピョンチャン)五輪(2018年2月9日~2月25日開催)のページがないというのは、同時期にテレビでは五輪関連の話題ばかりの日本とは少し温度差を感じる。もっとも、テレビに関していえば、フランスでは日本のように一日中ワイドショーが流れているわけではないので、当然スポーツの話題は少なくなる。とはいえ、民放での五輪の中継総放送時間は日本が約150時間であるのに対して、フランスは約200時間と大きく上回っている。
今回の五輪はフランス人にとってはテレビ観戦が少し辛い。開会式と閉会式はフランス時間で12時(以下すべてフランス時間)、注目のバイアスロン競技は11~13時に行われ、見られないことはないが、スキーのアルペン競技は午前2~4時など、深夜早朝に行われる種目も多い。中継を行うFrance 2、France3は午後にダイジェスト放送を組み、昼と夜のニュースに五輪情報の枠を設けている。
「注目の」と言ったが、平昌五輪で最も金メダルの獲得が有望視されている種目がバイアスロンである。バイアスロン選手のマルタン・フルカドMartin Fourcadeはソチ五輪で12.5キロメートルパシュートと20キロメートル個人の2種目で金メダル、混合リレーで銀メダルを獲得し、フランスが獲得したメダルは金4、銀4、銅7であったから、フルカドはフランスの総獲得メダル数に大いに貢献した。この時、フランスは冬季五輪でのメダル獲得数は過去最高を記録しており、ソチよりもさらに5個多い20個のメダル(内5個の金メダル)獲得を目標に掲げる今回は、フルカドがフランス選手団の旗手を務め、連覇の期待を背負う。
フルカドの他に金メダル獲得が期待されているのは、やはりソチに続く連覇ということでテッサ・ウォーレイTessa Worley(女子アルペンスキー大回転)、ピエール・ヴォーティエPierre Vaultier(男子スノーボードクロス)の名が挙がる。五輪初出場では、昨年、15歳で世界選手権を制覇したテス・ルドゥーTess Ledeux(フリースタイルスキー)や、世界ランキング1位のガブリエラ・パパダキスGabriella Papadakis、ギヨーム・シズロンGuillaume Cizeronのペア(アイスダンス)にも可能性がありそうだ。本誌発売の時点ではすでに答え合わせになってしまうが、結果はどうだっただろうか。
◇初出=『ふらんす』2018年3月号