サッカーの試合中継をめぐって炎上
ワールドカップ優勝の熱狂から3か月が過ぎた。8月にはリーグ1の新シーズンが始まり各チームの緒戦と移籍市場に注目が集まり、9月にはUEFA チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグも開幕した。チャンピオンズリーグにはモナコ、パリSG、リヨンが、ヨーロッパリーグにはボルドー、マルセイユ、レンヌが出場しており、サッカーファンたちの週末にはまだまだ熱い夜が続きそうだ。
試合を観戦するには、言うまでもなくテレビをつければよいのであるが、民放は今シーズンのリーグ1の放映権をもっておらず、有料放送のCanal+、beIN Sports に加入しなければならない。またチャンピオンズリーグと、ヨーロッパリーグを視聴するにはRMC Sports に加入する必要があり、無料でサッカー中継を観ることができない。
9月18日のチャンピオンズリーグ、パリSG -リバプール戦は注目の一戦であったが、RMC Sports および同グループのSFR(チャンピオンズリーグ視聴にはオプション加入が必要)で接続障害が発生し、試合中継が中断、もしくはストリーミングの不具合が生じる事態に陥った。これに際し、RMC には非難と苦情が殺到、SNS 上では加入者たちの不満であふれかえり、RMC 側は早急の対応を迫られることになった。アクセスの集中が原因であったが、チャンピオンズリーグを放映するということでRMC の加入者が一気に増加し、こうした事態に対する予測がなかったわけではなかった。21日のマンチェスターシティ– リヨン戦では不具合は改善され、多少の遅延はあったものの、ストリーミング放送ではよくある程度で、18日のように多数の非難の声が上がるということはなかった。
RMC は加入者に対する補償として、1か月分の受信料を無償にすることを決定した。さらにリーグ1 などの放映権を持つ他局のチャンネルも含めた新しいパッケージを40ユーロ以下で提供することも発表した。9月下旬の時点では詳細までは明らかにされていないが、実際に40ユーロ以下ですべてのサッカーの試合を視聴することができるとなれば、従来のように別々に加入していた場合の半分以下の料金で済むことになる。
サッカーに限らずスポーツの試合の放映権料が年々上昇していることは大きな問題になっている。先のワールドカップでは、グループリーグは有料放送では全試合が中継されたが、民放ではおよそ3分の1 の試合しか放送されず、日本代表の試合はその中に含まれていない。フランスでは多くのカフェで有料放送の試合を観戦することができるので、日本代表の試合を見逃さずに済む。深夜でなければの話だが。
◇初出=『ふらんす』2018年11月号