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「アクチュアリテ スポーツ」芦立一義

2018年1月号 注目の大臣、ローラ・フルセル

 マクロン政権が誕生してから半年が過ぎた。11月4日付のLe Journal du Dimanche紙に発表されたフランス世論調査研究所(Ifop)の調査によれば、フランス人の68パーセントがスポーツ担当大臣のローラ・フルセルを好意的に捉えており、主要大臣の中で最も高い評価を得ている。2024年のパリ五輪開催をめぐる彼女の精力的な活動、発言が度々注目され、メディアで取り上げられる機会も多かった。

 フルセル大臣は五輪開催が決定した9月13日を「スポーツの日」と定め、6月21日の「音楽の日fête de la musique」をモデルに各地でさまざまな催しを企画するとした。2010年以降、9月中旬には「体育の日journée du sport scolaire」が、また2013年からは9月の最終週には「ヨーロッパスポーツウィーク」がすでにあるが、「音楽の日」ほど一般的に定着しているわけではなかった。

 さらに彼女は、クラブチームやトレーニングセンターの強化にも力を入れる。7年後の五輪を見据えてのことであるというのは言うまでもないが、パリ五輪では2016年のリオ五輪で獲得したメダル数の倍にあたる80 個のメダル獲得を目標に掲げており、「スポーツの日」によるフランス国民のスポーツの振興にしても、フランス全体で五輪に挑む覚悟のようなものがうかがえる。

 金メダルの獲得数が増えれば会場でフランスの国歌が流れる機会も増えるわけだが、フルセル大臣は若い競技者たちに国歌を覚えさせるためにもフランスで行われるフランス選手権大会ではフランスの国歌斉唱をするべきであるとの考えを明かした。さしあたりサッカー、ラグビー、ハンドボールなど幾つかの競技に限定されるが、陸上や自転車、フェンシングなどについても拡大させる可能性も含めて今後検討されるようだ。

 とはいえ詳細が検討される前にこの考えには批判的な声も多く、例えばフランスサッカー連盟会長ノエル・ルグラエは、国歌斉唱は「フランスカップとフランスリーグカップの決勝戦の時だけで十分である」とし、またサッカー元フランス代表のエマニュエル・プティは、「子供たちに国歌を覚えさせるのは学校である」と言っている。

 五輪に向けたスポーツ界の総動員計画は始まったばかりだ。元フェンシング選手だけあってフットワークも軽いフルセル大臣だが、彼女のこの数か月はまさに« cʼest du sport »(「大変だ」くらいの意味の表現)である。賛否はともかく、その仕事ぶりが人気につながっているのかもしれない。

◇初出=『ふらんす』2018年1月号

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著者略歴

  1. 芦立一義(あしだて・かずよし)

    パリ第12大学Master2(哲学)修了。仏哲学

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