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「アクチュアリテ スポーツ」芦立一義

2018年4月号 新ロンシャン競馬場が完成



 2015年10月に開催された凱旋門賞を最後に改築工事が始まったロンシャン競馬場が、いよいよ新たな姿で除幕を迎える。パリの国立図書館を設計した建築家としても知られるドミニク・ペローDominique Perrault によってデザインされた新ロンシャン競馬場は、当初の予定では2017 年の凱旋門賞が除幕レースとなるはずであったが、半年遅れとなったわけだ。

 ロンシャン競馬場では、春競馬が開催される日曜日(3 月18 日~ 5 月27 日)をDimanches au Galop と呼ぶ。子ども向けのイベントやアトラクションが企画されているというのはフランスの競馬場では珍しくないが、広大な敷地をもつブーローニュの森の中にあるロンシャン競馬場は、凱旋門賞のようにドレスアップした紳士淑女が集まる社交場とは違う、ピクニックやサイクリングのように家族で楽しむ場所という顔ももつ。

 メインスタンドとなる観覧席のある建物は5 階建てで、最上階からはエッフェル塔を眺めることもできる。レストランやVIP 席などの他に、展覧会やセミナーなどのイベント会場としても利用可能なサロンスペースやテラスも充実しており、こうした多目的性は新ロンシャンのポイントの一つでもある。もちろん、自然採光、自然空調、地熱エネルギーの利用や光電池パネルの設置といったエコロジーへの配慮も欠いていない。

 Dimanches au Galop の前半は、ブーローニュの森の南東に位置するオートゥイユ競馬場のみでレースが開催されるが、4 月29 日の除幕式以降は新ロンシャン競馬場でもレースが行われ、除幕式当日のガネー賞(G1)はリニューアル記念として賞金が例外的に去年の2 倍に増額されることに決まった。この春競馬、ロンシャンではプール・デッセ・デ・プーラン・エ・プーリッシュ(G1)などのレースが行われるが、オートゥイユでもフランスで最も権威のある障害レース、パリ大障害(G1)が見どころである。

 ロンシャンでは、エイズに対する連帯を呼びかけるSolidays(6 月22 ~ 24 日)やアメリカのロックフェスLollapalooza(7月21、22 日)などの大きなイベントも予定されている。また5 月17 日~ 7 月5 日の毎木曜日は、ハッピーアワーから楽しめるバーになる。日没が遅くなるこの季節、多くの人が集うセーヌ川やサン・マルタン運河ではなくロンシャンの芝生で乾杯というのもたまにはいいかもしれない。7 月14 日のパリ大賞典(G1)の後に行われるガーデンパーティも有名だ。DJ がエレクトロミュージックで会場(あるいは馬場)を盛り上げるが、今年は革命記念日を祝うエッフェル塔の花火を眺めることもできるだろうか。

◇初出=『ふらんす』2018年4月号

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著者略歴

  1. 芦立一義(あしだて・かずよし)

    パリ第12大学Master2(哲学)修了。仏哲学

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