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「アクチュアリテ スポーツ」芦立一義

デビスカップの新方式、フランスの反応は?

 テニスの世界男子国別対抗戦、デビスカップ(以下、デ杯)の改定案が、8月16日に行なわれた国際テニス連盟(ITF)の総会で承認された。この改定案は、大会の開催方式に関わるもので、2019年から、従来の年に4回(3日間かけて行なわれる対戦が2、4、9、11月に開催)のトーナメント方式ではなく、2月に予選1回戦を行ない、11月に1週間でグループリーグ戦とトーナメント戦を行なう新方式による開催となる。各試合は5セットマッチから3セットマッチに短縮され、決勝戦はホーム&アウェイ方式ではなく第三国開催に変更される。11月の決勝大会の方はサッカーのワールドカップのような方式になる。この決定の1か月前に、男子プロテニス協会(ATP)が2013年に廃止となったワールドチームカップ(WTC)の復活を発表していたが、11月のデビスカップ、1月WTC(2020年から)と、1か月を置いて2度のテニスワールドカップが開催されることになる。

 前回のデ杯覇者であるフランスチームは、この改定を歓迎していない。世界ランキング17位(8月21日時点、フランス人最高順位)のリュカ・プイユLucas Pouilleは改定案が発表された昨年から反対の声をあげており、新方式となった場合はボイコットすると言う。6月までフランスチームを率いていたヤニク・ノアYannick Noah も、118年の歴史をもつ伝統的な対戦方式(とはいえ、これまでに多少の方式の変更がなかったわけではない)が失われることに批判を向け、「デ杯の魂を売り」新方式を支持する人々を恥じた。また、ヤニク・ノアの後任としてフランスチームを率いることになったアメリ・モレスモAmélie Mauresmo も失望をあらわにし、現実を受け入れるのに「考える時間が必要」だと述べた。ジル・シモンGilles Simon やリシャール・ガスケRichard Gasquet もSNS で新方式の採用について落胆のコメントを残している。フランスでは選手とその周囲で反対もしくは失望という意見が多いものの、ITF内でも影響力の大きいフランステニス連盟(TTF)は改定案支持を表明しており、伝統よりも財政的恩恵を選んだとしてTTF にも批判は差し向けられている。

 5セットマッチ、ホーム&アウェイの従来の方式で行なわれるのは今年が最後となる。本号が出る頃には11月23 ~25日に行なわれる決勝戦のカードが決まっていると思うが、この最後のデ杯決勝戦にフランスチームは進出することができただろうか。新方式により「デ杯は死んだ」と言われているが、トッププレイヤーの中にはジョコヴィッチのように、現行の過密日程より改定日程の方が好ましいと考える選手がいるのも事実だ。

◇初出=『ふらんす』2018年10月号

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著者略歴

  1. 芦立一義(あしだて・かずよし)

    パリ第12大学Master2(哲学)修了。仏哲学

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