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「アクチュアリテ スポーツ」芦立一義

2018年2月号 ゲイ・ゲームズ パリ2018

 東京2020、パリ2024とはもちろん夏季五輪のことであるが、今年は4年に一度開催の別のスポーツイベントが8月にパリで行われる。この「パリ2018」、今回が10回目の開催となるゲイ・ゲームズである。ゲイ・ゲームズは五輪ほどの知名度はないが、出場選手数は五輪を上回ることもある大規模なスポーツイベントで、同性愛に対する認識と理解の向上を目的としてデカスロン競技で五輪に出場経験のあるトム・ワデルTom Waddel氏によって戧設された。これは同性愛者のためのスポーツイベントであると言うとおそらく誤解を生むだろう。ゲイ・ゲームズは、セクシュアリティ、性的アイデンティティを問わずに誰もが参加できるイベントであって、多様性を尊重することにある。

 8月に開催されるため、いま記事にするというのは時期尚早のように思われるかもしれないが、すでに出場申し込みは始まっており、12月上旬の時点で参加人数上限の1万5千人のうち約5千人の出場が決定している。ゲイ・ゲームズへの出場には国別の予選などなく、18歳以上であれば誰でも出場できる。36競技150種目で行われ、五輪にない競技ではボーリングやペタンクなどがあるほか、種目によっては「初心者」(柔道)や「娯楽」(サッカー)カテゴリーもある。パリ市はもちろん、スポーツ省、フランスオリンピック委員会の後援もあり、8月4日~12日のパリでは、各地で競技はもちろん、さまざまな催しが行われる。

 ゲイ・ゲームズの招致活動は、ジャック・ブートーJacques Boutault(緑の党)が2012年にパリ市議会で、「2024年の五輪招致よりも意義がある」としてパリ開催の招致を提案したことに始まる。エコロジーの観点で、パリ2024の開催には多くの批判があったことを考えると、出発点が緑の党だったというのが意外だ。 余談だが、ゲイ・ゲームズのパリ開催が決定した2013年は、フランスで同性婚法案が可決された年でもある。

 ゲイ・ゲームズは当初、「ゲイ・オリンピック」の名称が考えられていたが、国際オリンピック委員会とアメリカオリンピック委員会の反対により変更を余儀なくされた。現在ではオリンピックとゲイ・ゲームズは連帯し理念を共有しているところもある。東京五輪を前に、われわれもスポーツと性的マイノリティについて、理解を深める必要があるだろう。

 ゲイ・ゲームズの詳細および出場登録は、以下のサイトを参照のこと。
https://gaygames.org/
https://www.paris2018.com/fr/#

◇初出=『ふらんす』2018年2月号

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著者略歴

  1. 芦立一義(あしだて・かずよし)

    パリ第12大学Master2(哲学)修了。仏哲学

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