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釣馨 + Ghislain MOUTON「Dessine-moi un mouton !」

第22回 フランス人あるある

ひつじ:Nous avons écrit un liiiiiiiiiivre ! とうとう出ました、『日本人が知りたいフランス人の当たり前』! 略して「フラあた」と呼んでください。

フレンチブルーム(以下FB):ひつじさんとは2015年4月号からこの連載を始め、もうひとりの著者の武内さんとは『ふらんす』の2013年と2014年の新学期号で「時事ネタ会話」を担当しました。その流れで私のところに出版社から話が来て、当然のようにお二人を誘ったのですが、打ち合わせをしなくても、最初から方向性は共有していましたね。

ひつじ:盛り込みたかったテーマはまだまだあり、私が言うのも何ですが、フランスはいまだ話題に事欠かない国であることを改めて思い知らされました。50のテーマで書いているので、最低5つは興味を持てるテーマがあると思います。また隣のページや、偶然開いたページに新しい発見をしてください!

FB:もともとフランスの情報化=インデックス化がFRENCH BLOOM NET のコンセプトで、昔のようにフランス発の文化が明快な形で見えないので、わかりやすい形で拾い出すことが大事なんですね。

ひつじ:それに、フランスではみんな知ってるけど、日本ではあまり知られていない「フランス人あるある」がたくさんあります。それをうまく引き出す質問を考え出すのが難しかったですね。例えば、「フランス人は犬が大好きなの?」より、「犬のウンチで街が汚いって本当?」という質問から始める方が話の内容が深まるし、興味を惹きます。この話は有名ですが、さらに紹介したかった都市伝説は「ウンチを踏むのはイヤなことだけど、左足で踏めば幸せが舞い込むんだよ!」ということです。知ってました?

FB: 昔パリで、買ったばかりのカンペールのシューズで思い切り踏んだことがあって、それも右足だったので、数日間とても憂鬱でした(笑)。しばらく匂いがとれないんですよね。

ひつじ:同じように、「フランス人は毎日ワインを飲んでいるの?」というフランス人が最もされそうな質問があるんですが、ベルギーの国境まで車で15分の場所に住んでいた僕は、毎日地ビールを飲んでいたので、ワインに全然興味がありませんでした。だからそう聞かれると、「いや!そんなふうに一般化できないでしょ!」と答えたくなりますね。

FB:フランス人一般として言えることもありますが、他方で地方色や多様性があるということですね。

ひつじ:最近は極右が台頭したり、テロが起こったり、フランスのイメージはどんどん上書きされていますからね。

FB:日本人の中でも、フランスに対するイメージの世代ギャップがありますよね。フランス発の文学や映画に浸りつつ先進的な文化国としてフランスにあこがれていた世代、マンガやアニメといったサブカルチャーをフランスと共有している若い世代……。

ひつじ:フレンチさんは前者に、僕は後者に属しますが、本の中でそれぞれの世代のフランス観(感)を織り交ぜているので、世代を超えてアピールできますね。

FB:日本とフランスの現在進行形の関係もちゃんとフォローしてます。日本で2014年上半期にベストセラーになった『フランス人は10着しか服を持たない』とか……。

ひつじ:ドラゴン納豆もね!

FB:そうそう(笑)。さらにグローバリゼーションが進んだ状況では、フランスと日本は同じ現実や問題を共有することになりますね。例えば、冒頭の章でフランスのカフェの現状を解説したあとに、スターバックスのことが話題に上ります。フランスについて書いていたとしても、それは日本のことや、さらには世界全体に何らかの形で通じていて、問題意識が広がります。ひつじさんが出してくれたネタの中では、「パーティーでのビズ地獄を回避する方法」がいちばんおもしろかったですね。

ひつじ:それは読んでのお楽しみですね。紙面の関係上、断定的に書いていることもありますが、気になったことは自分でさらに調べてみるといいですね。また旅行や留学の前にこの本に目を通して、今のフランスの輪郭をつかんでおくと、フランス人との会話にも困らないし、フランスに行ってさらに深い発見ができるでしょう。パリで起こったテロ、ユーロ危機とか、気になっているんだけど、今さら聞けないこともクリアになるかもしれません。

FB:このように、この本はリーディングの語学参考書という形をとっていますが、日本語の部分を読めば、フランス語がわからなくても、フランスの文化や政治の入門書としても読めるんです。

ひつじ:フランス語がある程度できる人は、それぞれのテーマによってどのような表現が使えるのか、どのように話題を広げられるのか、フランスン人と会話をしているつもりになって、具体的な会話のシーンをイメージしてみましょう。

FB:「そういえば、沖縄のジュンク堂をハッキングして、「ひつじ先生コーナー」を作ったとか聞きましたよ。

ひつじ:語学書担当の方にプレゼンしたら、即決まりました。とりあえず、この本と『ふらんす』のバックナンバーを置いてもらうことになりました。僕の写真付きのポップスタンドが目印です!

FB:ネットワークを作りながらを人を巻き込んでいくひつじさんの行動力には目を見張るものがありますね。こんなタイプのフランス人に、今まで会ったことなかったかもしれない。

ひつじ:僕のおじいさんもお父さんも同じようなタイプの人間でした。まだまだおもしろいことにチャレンジしていきますよ!

◇初出=『ふらんす』2017年1月号

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著者略歴

  1. 釣馨(つり・かおる)

    神戸大学他非常勤講師。仏文学・比較文学。FRENCH BLOOM NET 主宰。

  2. Ghislain MOUTON(ジスラン・ムートン)

    琉球大学非常勤講師、ひつじフランス語教室代表。

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