第6回 子音の対応規則(1)
前回まで、韓国語における英語由来の外来語の、母音の対応規則についてお話しました。全ての母音の対応規則をお話したわけではありませんし、まだ話すべき事はあるのですが、できるだけ日本語話者が韓国語を学習するにあたって重要なポイントに絞って、重要な順にお話して行く事にしましょう。
というわけで、今回からは子音の対応規則のお話をします。まずはぜひ把握しておきたい、特に注意すべき重要規則として以下の対応規則を紹介します。
◆ 覚えておきたい⼦⾳の対応規則
f → ㅍ
sofa, fork, fasion, file, self-service, graph, Philippine
ソファー、フォーク、ファッション、ファイル、セルフサービス、グラフ、フィリピン
소파, 포크, 패션, 파일, 셀프(서비스), 그래프, 필리핀
r → ㄹ
stress, spray, original, project, Brazil, error
ストレス、スプレー、オリジナル、プロジェクト、ブラジル、エラー
스트레스, 스프레이, 오리지널, 프로젝트, 브라질, 에러
l → ㄹㄹ
slipper, melody, family, volume, plan, jelly
スリッパ、メロディー、ファミリー、ボリューム、プラン、ゼリー
슬리퍼, 멜로디, 패밀리, 볼륨, 플랜, 젤리
th[θ](濁らない場合) → ㅅ(まれにㄷ)
health, theater, thrill, method, birthday, orthodox, throw-in
ヘルス、シアター、スリル、メソッド、バースデー、オーソドックス、スローイン
헬스, 시어터, 스릴, 메소드, 버스데이, 오소독스, 스로인
th[ð](濁る場合) → ㄷ
the, that, rhythm, smoothie, weather, feather
ザ、ザット、リズム、スムージー、ウェザー、フェザー
더, 댓, 리듬, 스무디, 웨더, 페더
ここでは、スペルではなく「実際の発音」に注目します(母音の話の時もそうだったのですが…英語の母音の正確な発音はわかりにくいので、スペルに注目していました)。スペルが f だろうが ph だろうが、実際の発音は同じ[f]ですし、スペルが l だろうが ll だろうが、実際の発音は同じ[l]です。また、同じthでも、濁らない場合[θ]と濁る場合[ð]では発音が違います。
最後のthの規則では、以下のように「濁らない」のに例外的に ㄷ になる例もいくつかある事を知っておきましょう。
th[θ](濁らない場合)なのに ㄷ になる例外
mammoth, McArthor, synthesizer,
マンモス、マッカーサー、シンセサイザー
매머드, 맥아더, 신디사이저
なぜ例外になるのかはよく分かっておりませんが、濁るth[ð]だと「勘違い」して、それが定着してしまった可能性も考えられます。それにしても、「매머드」や「맥아더」など、「メモドゥ」とか「メガド」などと言われても、知らないとなかなか「マンモス」や「マッカーサー」の事だとは分かりませんよね。同じ英単語を受け入れた結果が日本語と韓国語でこうも違うのは驚きです。ちなみに、口語では日本語「マンモス」の影響を受けた「맘모스」という語形もよく使われます。
さて、以上がぜひ把握しておきたい子音の対応規則です。「なぜこうなるのか」の解説は次回以降をお楽しみに。