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「韓国語の単語はこう覚える~外来語編~」河崎啓剛

第6回 子音の対応規則(1)

 前回まで、韓国語における英語由来の外来語の、母音の対応規則についてお話しました。全ての母音の対応規則をお話したわけではありませんし、まだ話すべき事はあるのですが、できるだけ日本語話者が韓国語を学習するにあたって重要なポイントに絞って、重要な順にお話して行く事にしましょう。

 というわけで、今回からは子音の対応規則のお話をします。まずはぜひ把握しておきたい、特に注意すべき重要規則として以下の対応規則を紹介します。

 

覚えておきたい⼦⾳の対応規則

 

f →

 sofa, fork, fasion, file, self-service, graph, Philippine

 ソファー、フォーク、ファッション、ファイル、セルサービス、グラフィリピン

 소, 크, 션, 일, 셀(서비스), 그래, 리핀

 

r →

 stress, spray, original, project, Brazil, error

 ストス、スプー、オジナル、プジェクト、ブジル、エ

 스트스, 스프이, 오지널, 프젝트, 브질, 에

 

l → ㄹㄹ

 slipper, melody, family, volume, plan, jelly

 スッパ、メディー、ファミー、ボリューム、プン、ゼ

 슬리퍼, 멜로디, 패밀리, 볼륨, 플랜, 젤리

 

th[θ](濁らない場合) → (まれにㄷ)

 health, theater, thrill, method, birthday, orthodox, throw-in

 ヘルアター、リル、メッド、バーデー、オードックス、ローイン

 헬, 어터, 릴, 메드, 버데이, 오독스, 로인

 

th[ð](濁る場合) →       

 the, that, rhythm, smoothie, weather, feather

 ット、リム、スムーー、ウェー、フェ

 , , 리, 스무, 웨, 페

 

ここでは、スペルではなく「実際の発音」に注目します(母音の話の時もそうだったのですが…英語の母音の正確な発音はわかりにくいので、スペルに注目していました)。スペルが f だろうが ph だろうが、実際の発音は同じ[f]ですし、スペルが l だろうが ll だろうが、実際の発音は同じ[l]です。また、同じthでも、濁らない場合[θ]と濁る場合[ð]では発音が違います。

 最後のthの規則では、以下のように「濁らない」のに例外的に ㄷ になる例もいくつかある事を知っておきましょう。

 

th[θ](濁らない場合)なのに になる例外

 mammoth, McArthor, synthesizer,

 マンモ、マッカーー、シンサイザー

 매머, 맥아, 신사이저

 

なぜ例外になるのかはよく分かっておりませんが、濁るth[ð]だと「勘違い」して、それが定着してしまった可能性も考えられます。それにしても、「매머드」や「맥아더」など、「メモドゥ」とか「メガド」などと言われても、知らないとなかなか「マンモス」や「マッカーサー」の事だとは分かりませんよね。同じ英単語を受け入れた結果が日本語と韓国語でこうも違うのは驚きです。ちなみに、口語では日本語「マンモス」の影響を受けた「맘모스」という語形もよく使われます。

 

 さて、以上がぜひ把握しておきたい子音の対応規則です。「なぜこうなるのか」の解説は次回以降をお楽しみに。

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著者略歴

  1. 河崎啓剛(かわさき・けいごう)

    東京大学大学院総合文化研究科准教授。東京大学教養学部超域文化科学科言語情報科学分科卒業。ソウル大学校大学院国語国文学科博士課程修了。文学博士。崇実大学校日語日文学科(韓国ソウル)助教授、帝京大学外国語学部講師を経て、現職。専門は言語学、韓国語学、韓国語史、日韓対照言語学。著書に『中世韓国語感動法とは何か』(原題は韓国語)(韓国京畿道:新丘文化社、2017年)など。

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