第4回 玉ねぎとその皮の間に入ると耐えられない臭いしか得ない
©Peri.
يا داخل بين البصلة وقشرتها ، ماينوبك إلا ريحتها
(ヤーダーヘル ベイン エルバサラ ウェエシュレトゥハ、
マイヌーバク エッラ レヘトゥハ)
訳:玉ねぎとその皮の間に入ると耐えられない臭いしか得ない。
先日、友達が旦那さんと大喧嘩しました。話を聞いた私は彼女の味方をすることになり、2人の仲裁をすることを頼まれました。友達の主張を冷静に伝えているつもりでしたが、お互い徐々にヒートアップしていきました。そして、彼の話を聞いているうちに、友達にも非があることが分かり、今度は彼の言い分を友達に伝えることになりましたが、またしても彼女と熱く議論することになり、揉めてしまいました。
結果的には、後に2人は仲直りして元通りになりましたが、私は2人と気まずい雰囲気になってしまいました。その時自然に口から出たのが、今回のことわざです。
タマネギの実と皮の間に入れば、強烈な臭いしか得られないということわざですが、その実と皮は物理的にくっついていて、近い関係を表しています。近い関係にあるもの同士の間に立ち入れば涙が出る、つまり、好ましくない思いをする羽目になりますよ、とアドバイスしてくれているのです。
日本のことわざで考えると、物事と関係しなければ面倒なことに巻き込まれることはない、とか、揉めごとは傍観者でいるのが一番、と教えてくれる「触らぬ神に祟りなし」と、夫婦はくだらない原因ですぐ喧嘩するけれど、すぐ仲直りするから、放っておけばよいという「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」が、先ほどの状況でも使うことができます。ほぼ同じメッセージを伝えることわざが複数あるということは、偶然とは考えられず、その文化において強調されていることと思わされます。
立ち入らなければ助けてもらえなかったと批判されるし、仲裁するとタマネギとその皮の間に入った思いをしてしまうのです。ことほど左様に人間関係は難しいものですね。
私はこれからもことわざから知恵を借りて生きていきますが、あなたはどうですか。玉ねぎの実と皮の間に入ったことがありますか。