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清岡智比古「〈フラ語〉ワールドへようこそ!」

 みなさん、こんにちは! 新たな春が巡ってきましたね。で、春といえばやっぱり、「語学の季節」。今、この「ふらんす」4月号を読んでくださっているあなたもきっと、「語学の季節、キタ〜!」という気持ちを、胸に抱いていることでしょう、そう、ピンクの薔薇の花束のように! みなさん、こんにちは! 新たな春が巡ってきましたね。で、春といえばやっぱり、「語学の季節」。今、この「ふらんす」4月号を読んでくださっているあなたもきっと、「語学の季節、キタ〜!」という気持ちを、胸に抱いていることでしょう、そう、ピンクの薔薇の花束のように! で、ここからの6ページも、そんなみなさんに捧げる応援歌なんですが、じゃあそのために何をするかというと、そうです、「フラ語シリーズ・全5冊」のご紹介です!(もしかして「それって宣伝じゃ!?」と思いましたか? そうとも言う!)では始めましょう!

まずはルール・ブックを手に入れよう!
〜フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!〜

 じゃあまずは「フラ語シリーズ」の看板である、『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!』からご紹介させてください。この本はまさに、フラ語の「ルール・ブック」として書かれています。フラ語もサッカーも、まずはルール全体を(ざっくりとでも)知っておいた方がいいですよね? なのでとにかく、最後まで読める! っていう点を重視して、おしゃべり文体で、読みやす〜くしてあります。なんだかよくしゃべるなあ、と思っているうち、読み終わってます!
 で、この本の項目配列ですが、これはごくフツーです。最初に発音ルールをざっと見て、その後、名詞、冠詞、主語になる代名詞(jeとかtuとかね)、形容詞、さまざまな動詞、時刻(今何時?)、天候(暑いね!)、疑問詞(どこ行く?)、目的語代名詞(わたしにメールして。)……、と行って、やがて複合過去(よく寝た!)、関係詞、そして難関の代名動詞や中性代名詞(le, en, y の3つね)、単純未来、半過去(子供の頃はね……)を経て、条件法(親父がトム・クルーズだったら……)や接続法まで見ていきます。どうですか? 今あえてザラザラ列挙してみたんですけど、ええっとそれなんだっけ? という項目もあったでしょうか? で……
 『フラ語入門』は、基本的には、初めてフランス語に接する人に向けて書かれています。でもね、改訂前の最初の版が出たのは20年ほど前のことで、その後この本を使ってくださった方々からお話を聞くと、もう3周しましたとか、何周しても新しい発見がありますとか、もっと上級の参考書を使い始めたけど、こんがらがると『フラ語入門』に戻ります! とか、そんなありがたい言葉が多くありました。そうなんです、語学って、1回聞いたらそれでOKっていうようなものじゃないんですね。なので、一応最後までやったけどややアヤシイという場合も、ある程度は「理解したぞ」っていう場合も、時にこの本で、なんだっけ? の正体を確認(したり、なんなら全体を読み直したり)するのは、とても効果的な勉強法だと思います。
 ところで……。語学って最初の頃は、なんというか、箇条書き的な内容になっています。まあ、見るもの聞くもの、みんな初めてですからね。でも、勉強が進んでいくと、今度はネットワーク的になってくるんです。そう、たとえば目的語代名詞(直接&間接)の使い方は、代名動詞の考え方とも、関係詞の選び方とも、そしてなんと言っても中性代名詞との使い分けとも、密接につながっています。
 この辺り、ぜひ本で確認して欲しいんですが、じゃあここでは一例として、中性代名詞(特殊な代名詞)en の例文を聞いてみましょうか。言うまでもなく、ムズカシイ箇所です。もしみなさんが、まだフラ語を始めたばかりという場合は、はあ!? ってなっちゃうと思いますけど、まあ、とりあえずどうぞ!

(音声)

「京都からいらしたんですか?」「はい、そこから来とるんどす」
 Vous venez de Kyoto ?  - Oui, j’en viens. (je viens de Kyoto.) etc.
 (『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!』 p. 150-151、トラック78)

 こんな感じです。ベンキョーが進んでいくと、この「日本語→フラ語」が、いい練習になるはずです!
 で、ちょっと話を戻しますが、今聞いた中性代名詞(特殊な代名詞)は、さっき挙げた目的語代名詞(直接&間接)、代名動詞、関係詞、などとネットワークを形成してるわけです。言葉って、いわば1つのシステムなんですが、その内部には「ネットワーク」があります。で、言葉を身につけるには、さまざまな項目同士が作る「ネットワーク」をつかむことが、とっても大事になってくるんです。『フラ語入門』では、特にこの「ネットワーク」を意識しているので、読み終われば、フラ語全体が1つの宇宙(!)のように感じられるでしょう!(たぶん!)
 この本、文体はおしゃべり的だし、ブンポー用語は必ず説明してから使う、といった感じなので、ちょっと軽いんじゃない? と思われることもあるんですけど、大丈夫、大事なことはみ〜んな書いてあります。無駄な(!)おしゃべりなように見えても、大事なところでは「ここは大事!」って言いますから、安心していてください。それに、せっかく外国語を勉強しているんですもの、効率ばかりを追うのは疲れます。楽しい寄り道もしながら、大事なとこは外さない。それが『フラ語入門』です!

動詞を制する者はフランス語を制す!
〜フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?〜

 さて今度は、『フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?』のご紹介です。
 この本はタイトル通り、「動詞」に特化してるんですが、そもそもこの本ができたきっかけは、ある女性の一言でした。フラ語を勉強し始めたばかりだったカノジョは、ある時こう言ったのです、フラ語の辞書、出てない単語ばっかりなんですけど! え、そんなはずないよ? どれどれ……? ああ、動詞の活用形かあ。あのね、フラ語の辞書って、動詞は原形でしか出てないんだよ。ええ!? じゃあ調べられないじゃん! それに、読み方だって分かんないし! Mmm、おっしゃる通り…… で、でき上がったのがこの『フラ語動詞』なんです。
 この本の特長は、まずはなんと言っても、活用形から原形を探せる索引を付けたことです。これですぐ、原形が見つけられます。安心です! それから次に、「フラ語動詞スッキリ解説」を作ってみました。そこでは、「活用」のパターンで動詞を3グループに分けて、それぞれの特徴を「スッキリ」整理します。特に、フラ語動詞の90%を占める-er動詞については、かなりみっちり説明して、もうここでそれをマスターできちゃいます!(この部分、解説が「音声」にもなってます。ライブ授業な感じでお聞ききください!)
 でさらに、重要動詞を2段階(「最重要動詞70」、「重要動詞40」)に分けて、活用表をオール読み仮名付きで載せました。「40」の方なら、直説法の現在、複合過去、半過去、単純未来、そして条件法現在と接続法現在も。複合過去は、フツーこういう活用表には載らないんですけど、なんと言ってもよく使うから、載せちゃいました! じゃあここで、「重要動詞40」から、acheter「買う」とcroire「思う」の音声を、試しに聞いてみてください。(なんならシャドーイング、どうぞ!)

(音声)

(音声)

(『フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?』 p. 101, 113)

 リズミカルでしょ?(みなさんもリズミカルに言ってみてくださいね。) やっぱり動詞って、フラ語をベンキョーし始めた人にとって、最初の大きなハードルです。この本で、そのハードルをサクッと飛び越えちゃってください!

楽しく語彙を増やすには?
〜フラ語ボキャブラ、単語王とはおこがましい!〜

 『フラ語入門』、『フラ語動詞』と来て、3冊目は『フラ語ボキャブラ、単語王とはおこがましい!』です。もちろん、フラ語の単語を増強する本です。
 フラ語が使えるようになりたいと思ったら、(もちろん発音のルールなんかはスキップできませんけど)やっぱりまずは、その言葉の「ルール」を一通り知っておくのが大事ですね。で、再びで恐縮ですが、『フラ語入門』を通読するのなんて、まあ「サイコーで〜す!」。(言い忘れてましたけど、『フラ語入門』を読む場合、もう70%くらい分かったら十分ですから、どんどん先に進んじゃってください。残りの30%は、後から振り返れば、な〜んだそんなことか、ってなりますから。)
 でその次の段階では、問題を解いたり、いろんな文章を読んだり音読したり聞いたりして、「ルール」をじんわり体に染み込ませながら、同時に、単語力の増強も図れるといいんですよね。で、そうです、ここで登場するのが、『フラ語ボキャブラ』です。
 この本には、まず1511(イゴイイ!)単語が収録されています。テーマは77に分かれていて、たとえば〈I love you, I want you, I need you.〉のところでは、タイトルのフラ語はもちろん、「見とれる admirer」、「détester 大嫌いだ」、「カップル le couple」、「Aimer, c’est de ne jamais regretter. 愛するとは、決して後悔しないこと(なるほど!)」etc. が紹介されています。でね……
 実はこの本のウリは、単語の品揃えだけでなく、すべて「日本語→フラ語」の順で収録されている音声なんです。え、試し聞きですか? Avec plaisir ! じゃあ今の〈I love you,...〉のところ、聞いてみてください。(でなんなら、日本語聞いたらフラ語を言うのに挑戦してみて!)

(音声)

 (『フラ語ボキャブラ、単語王とはおこがましい!』 p. 37)

 できたかな? というわけで、この音声をDLしてしまえば、もう電車の中でもカフェでもお散歩中でも、本なしで復習できます。(「ダウンロードする」? これはtéléchargerです。もちろん載ってます。)
 そうそう、実は今発売中の増補新版には、「〈イマ〉を語る50の単語&表現」が追加されているんですが、これもいくつかご紹介しますね。「インフルエンサー influenceur, influenceuse」、「SNS  les reseaux sociaux」、「既読/未読 Lu/Non lu」、「トランスジェンダー les personnes transgenres」、「多様性 la diversité」……。ね、まさに〈イマ〉でしょ!? そうそう、この『フラ語ボキャブラ』には、半透明の赤シート(←昭和?)も付いてきます。それを使うと日本語が隠せます。綴りの練習にお使い頂ければ!

フラ語を体に染み込ませてゆくには?
〜フラ語問題集、なんか楽しいかも!〜

 4冊目は、『フラ語問題集、なんか楽しいかも!』です。いいですよね、「なんか楽しいかも!」って感じられる瞬間て!
 何度も繰り返してすみませんけど、新しい外国語と取り組むときは、やっぱりまずはその「ルール」全体を、おぼろげにでも感じるのが大事です。でもそれは、あくまで曇った夜空に浮かぶ月のようにおぼろなものですから、次の段階としては、徐々に体に染み込ませてゆくのが大事です。で、そのための、一番手っ取り早くまた確実な方法が、練習問題を解いてみることです。まあね、そんなことわざわざ言わなくても、この「ふらんす」4月号を読んでくださっているみなさんは、先刻ご承知だとは思いますけど!
 そして、これもまたお聞きになったことがあるんじゃないかと思うんですが、こういう場合は、いろんな問題集をつまみ食いするんじゃなく、まずは1冊仕上げてみるのが吉です。そして今ご紹介している「フラ語シリーズ」全5冊に共通する特長は、なんと言っても「最後まで行ける!」っていうことなんですが、それはもちろん、この『フラ語問題集』でも変わりません。とりあえず、この問題集を最後までやってみてください。フラ語ワールドの全体像が、よりクリアに感じられてくると思います。ちょうど、雲の晴れた空に輝く満月のように!
 じゃあここで一問、音声問題やってみますか? 聞き取って書き入れてみてください。目的語代名詞関連ね。

(音声)

1) Tu aimes Marie ? −Oui, je __ aime.
2) Vous téléphonez à Saïd ? −Oui, je __ téléphone souvent.
3) Vous attendez Eric et Ramsy ? −Oui, je ___ attends ici. 
4) Tu achètes un bouquet __ ___ parents ?
  −Non, je __ ___ achète ___ de bouquet.
5) Elle _______ ? −Non, elle __ __ ____ ___.
6) Tu __ ____?  −Oui, __ __ ______.
 (『フラ語問題集、なんか楽しいかも!』 p. 126)

 こんな音声問題も、全28題掲載されています。音の問題、楽しいしね♥️
 そして音と言えば、この本ではすべての例文に読み仮名がふってあります。やっぱり最初は、読めないとアガラナイし。でもこれは、自転車で言えば補助輪みたいなもの。ナルハヤで外せますように!
 まあとにかく、練習は嘘をつきません。どんどん解いてみてください。そして間違っちゃったところには印を付けて、どうぞ2周目を!(なんなら3周目も!)


シンプルなのにチョー使える表現を!
〜フラ語フレーズ集、こんなの言ってみたかった!〜

 さてドンジリにひかえしは、1月に出たばかりの最新刊、『フラ語フレーズ集、こんなの言ってみたかった!』です。
 この本では、最近よく使われるものを中心に、105の「決めセリフ」を取り上げています。(そして関連表現は400以上!)「決めセリフ」って、ちょっと楽しいです。というのも、単語自体はそれほど難しくないのに、え、そんな意味になるの!? うわ、チョーそのまま使えそうじゃん! となるからです。たとえば、フラ語で Je suis à l’ouest.「わたしには西にいる」って言った場合、どんな「意味」になると思います? これはね、「オレ(アタシ)、ボーッとしててさ」ってことなんです! なんで「西」? って思いますよね? わたしも思いますけど、続きは『フラ語フレーズ集』で!
 そしてこの『フラ語フレーズ集』の大きな特長の1つが、300分! を超える音声です。フラ語の例文や関連表現、そして日本語の解説もみ〜んな音声にしてみました。つまりこれ、「聞ける」本なんです、移動中でも食器洗い中でも!(フラ語だけが聞ける、ショート・ヴァージョンもあり。)お試し、聞いてみます? じゃあ、全7章から一つずつね。

 よい⾷欲を! Bonne appetit ! (1. あいさつの決めセリフ)(音声)

 ボ〜ッとしてる。 Je suis à lʼouest. (2. 会話を始める決めセリフ)(音声)

 よく⾔うよ! Tu parles !  (3. 会話がはずむ決めセリフ)(音声)

 カッコいい! La classe ! (4. 相⼿への関⼼を⽰す決めセリフ)(音声)

 やったー! できた! Ça y est ! (5. 思いを伝える決めセリフ)(音声)

 まさか! 嘘でしょ! Je rêve ! (6. 本⾳を伝える決めセリフ)(音声)

 マジで? Sérieux ? (7. さらっと⾔いたい決めセリフ)(音声)

 こういうの、サラッと言えたらアガリますよね〜!(大丈夫、言えるようになります!)

 そして最後になっちゃいましたけど、「フラ語シリーズ」の音源は、今日本で望めるベスト・メンバーが担当しています。この『フラ語フレーズ集』の共著者でもあるレナ・ジュンタさん、言語学者のシルヴァン・ドゥテさん、Mr. パーフェクトの異名を持つジョルジュ・ヴェスィエールさんたちです。(子守唄にも最適!?)
 それにしても語学って、ゴールなんてものはないみたいです。でもね、その勉強する過程で、色々なものと出会っていく、体験していく、それこそが語学の楽しみなのかもしれません。まるで、人生みたいですね! 「フラ語シリーズ」が、そんな楽しみのお手伝いができたら「サイコーで〜す!」(きよおか・ともひこ)

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著者略歴

  1. 清岡智比古(きよおか・ともひこ)

    明治大学教授。仏語・仏語圏の文化・都市映像論。著書『エキゾチック・パリ案内』『パリ移民映画』。ブログ「La Clairière」 http://tomo-524.blogspot.jp/

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