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小特集「フランス語の資格試験に挑戦!」中山智子/ロマン・ジョルダン=大塚

中山(以下N) コロナ禍で海外渡航が制限され、フランス語圏への留学や旅行の予定がなかなか立ちませんね。そんな中、学習意欲を保つためにフランス語の資格取得を目標にするのも効果的な方法です。代表的なフランス語の資格は仏検やDELF/DALFで、他にTCFもありますね。仏検は日本国内でよく知られています。ジョルダン=大塚先生はDELF/DALFの試験官もされていますが、試験官の立場からみるDELF/DALFはどのような試験ですか?

ジョルダン=大塚(以下JO) DELF/DALFはフランス国民教育省公認の資格試験であり、世界中で年間50万人が受験する試験です。世界で最も知られているフランス語試験と言っていいでしょう。一番簡単なA1から最も難しいC2まで6つのレベルがあります。DELF/DALFはフランス語を運用するための4技能をバランスよく測る試験です。受験者は読解、聴解、文書作成、口頭表現のどれも、こなせる能力を求められます。簡単ではないですが、挑戦する価値のある試験です。

N DELF/DALFは初級のA1レベルから面接での口頭表現試験がありますね。一方で、仏検は5級から1級までの7つの級がありますが、2次の面接試験があるのは準2級からです。1次の筆記試験で合格基準点を満たした人だけが2次に進むことができます。1次と2次の間には約1ヶ月の期間があるので、会話が苦手な人もじっくり対策をして臨むことができます。

問題形式の違い

JO DELF/DALFは世界中で共通の試験であり、設問もフランス語のみで書かれています。でも設問は受験レベルに合った文章になっているのでご安心を。DELF/DALFは語彙や文法などの言語についての知識よりも運用能力を測る試験です。例えばA2なら、好きな季節について説明したり、自分の家に友達を招くメッセージを書く力が必要です。口頭表現試験は、模擬会話形式で試験官があなたの友達役や職場の同僚役などを演じます。遠慮せず想像力を発揮してみましょう。もちろん文法と語彙の知識も役に立ちます。口頭表現・文書作成試験で言語の正確さは評価点の半分以上を占めるからです。フランスの大学への留学にはB2取得が必要です。

N 仏検でも長文読解や聞き取り試験はありますが、前置詞や代名詞、動詞の活用についての問題があり、正確な文法の知識が求められます。また、日本語の慣用的表現をフランス語に訳したり、フランス語の文章を日本語で要約するなど、級が上がるほどフランス語と日本語の両方を自在に行き来する力を求められます。仏検1級保持者は全国通訳案内士試験のフランス語試験を免除されることも、仏検が目指す力を象徴していますね。ディクテ(書き取り試験)があるのも仏検の特徴です。

どのレベルから受験するべき?

N 日本でフランス語を文法から学んだ人は、仏検は受験しやすいと思います。合格基準点は約6割ですから、過去問を問いて「いける!」と思ったらそのレベルか、1つ上のレベルにチャレンジしてみましょう。

JO DELF/DALFの場合は現在の自分のレベルよりも低いレベルから始めることをお勧めします。たとえば、すでに仏検準2級を取得している方は、B1よりもA2から試してみてください。B1もA2も試験の形式はほぼ同じですが、A2の方が試験時間は短く、問題で使用される資料がよりわかりやすいので、DELFの形式に慣れるにはいいと思います。

仏検とDELF/DALFのおおよその対応レベル

仏検 DELF / DALF
5級  -
4級  -
3級 A1
準2級 A2
2級 B1
準1級 B2
1級 C1 / C2

 

試験対策は?

JO 繰り返しになりますがどのスキルもおろそかにしないでください。合格最低点は全体100点中50点ですが、レベルごと4種の試験のうち、どれか1つでも得点が低いと(25点満点中5点未満)、不合格になります。日本語の公式サイト(https://www.delfdalf.jp)はとても充実しています。設問数、試験時間などの説明、例題の紹介、文書作成・口頭表現試験に合格するためのアドバイスもあり、とても便利ですよ。参考書は洋書を扱う書店やオンラインなどで簡単に入手できますが、できれば過去5年以内に出版されたものを選んでください。試験では「フェイクニュース」「観光公害」など最近の話題も扱われますし、試験の形式も時々変わるため、新しい参考書の方がおすすめです。

N 一方で仏検は、比較的問題形式が一定しています。過去問を問いて自分が苦手な分野を把握したら、仏検の対策本や参考書を使って、できるだけたくさん問題を問いてみてください。特に書き取り試験は練習の成果が上がりやすいので、私も学生に仏検攻略のためにディクテに力を入れるよう、よくアドバイスします。仏検の公式サイト(https://apefdapf.org)では過去問サンプルをダウンロードしたり、書き取り・聞き取り試験の音声も聞くことができます。

TCFなら受験級を選ぶ必要なし

JO 最後に、DELF/DALFや仏検とは全く異なるタイプの試験であるTCFについてもご紹介しましょう。DELFや仏検は受験級が分かれているのに対し、TCFは英語のTOEIC、TOEFL、IELTSのように1つの試験ですべてのレベルに対応する試験です。試験結果は点数で示され、取得点数により受験者のレベルが6段階で判定されます。DELFや仏検の場合、自分のレベルがわからない時に2つの級を受験する人も多いですが、TCFなら1度の受験で済みます。

 TCFは必須試験とオプションの補足試験に分かれています。必須試験は聴解、読解問題に加え、語彙・文法問題もあり、形式としてはDELFと仏検の中間的なものです。解答は選択方式なので記述の必要はなく、必須試験には面接はありません。補足試験には文書作成と口頭表現の2つの試験があり、それぞれ必要に応じて受験することができます。補足試験は必須試験受験後、成績の有効期間内(TOEICやTOEFLと同じく2年)であれば、いつでも受験することができます。

 TCFは、DELFや仏検と同様に主に年2回、国内ではアンスティチュ・フランセまたはアリアンス・フランセーズの試験センターで受験することができます。試験センターによってはオンライン試験(TCF-SO)もあり、年間を通じていつでも予約の上受験できます。とても便利な試験で、試験結果は試験終了後すぐに受け取ることができます。詳しい情報は公式の日本語サイト(https://delfdalf.jp/tcf_jp.php)を見てください。TCFはフランスの大学留学にも有効ですし(DELFと同じくB2レベル以上から)、フランスやケベックへ移住するためのTCF試験もあります。TCFにはオンラインの無料体験版があり(https://apprendre.tv5monde.com/fr/tcf)、問題の種類も多く、各スキルにおける自分のレベルを自己評価することができます。TCFに限らずDELF/DALFや仏検を受ける場合にも、ぜひTCFの無料オンライン版を試してみてください。私の学生にもいつも紹介するこのサイト、本当にオススメですよ!

モチベーションを保つために

N 仏検の2級以上は全体のレベルが上がり、全くの独学ではくじけることがあるかもしれません。また前述のように準2級以上は面接での2次試験があり、会話練習が必要となります。通学やオンラインの講座を受講するなど、誰かと勉強する機会を作ることが学習を継続するコツだと思います。

JO DELFについては国内では10校あるアンスティチュ・フランセまたはアリアンス・フランセーズの対策講座の受講も役立ちます。担当する先生はDELF/DALFを熟知していますし、あなたと同じ受験レベルを目指すクラスメートと一緒に受験準備することでよりやる気が出ると思いますよ! Bonne chance!

N 社会人の方でしたら、自分より若い世代の学習者と交流することは大いに刺激になると思います。私自身も学生からフランス語学習に役立つサイトや、NetflixやAmazon Primeで視聴できるフランス映画やドラマを教えてもらうこともよくあります。若い方なら人生の先輩の学習意欲に圧倒されるでしょう。フランス語の上達という共通の目標を持つ同志を見つけ、世代や経歴を超えて交流することができるのも、外国語学習の醍醐味ですね。

(なかやま・ともこ 京都外国語大学教授/ロマン・ジョルダン=おおつか 京都外国語大学准教授)

◇初出=『ふらんす』2022年4月号

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