特集「フランス語、どこで学びますか?」
*『ふらんす』2018年4月号から、特集の一部をご紹介します。
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4月はフランス語の勉強を始めたり、再開したり、本腰を入れる絶好のタイミング。さて、あなたはどこで、どんなふうにフランス語を勉強しますか? 語学学校、個人レッスン、それとも独学で? さまざまな学習参考書やラジオ、テレビ、インターネット、あるいはスマホのアプリ……選択肢がいろいろありすぎて、いったいなにが自分にいちばん合うのか迷いませんか?
そこで、「ふらんす」編集部では、各方面のエキスパートの方々に協力してもらい、フランス語を学ぶ人のための特製abécédaire(アーベーセーデール)を作りました! abécédaire とは、ABC(アーベーセー)を学ぶための入門書、つまりフランス語の「いろは」のこと。A = Athénée français「アテネ・フランセ」、B = Bande dessinée「バンド・デシネ」、C = Concours「コンクール」といった具合に、フランス語の学習方法や学習に役立つ情報が一目でわかります。A から順に読むもよし、気になるところから読むもよし。では、まいりましょう! Allons-y !
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フランス語のABC abécédaire de la langue française
A = Athénée français「アテネ・フランセ」
B = Bande dessinée「バンド・デシネ」
C = Concours「コンクール」
D = DAPF「仏検」
D = DELF/DALF「デルフ・ダルフ」
E = Écoles de langue「語学学校」
F = Francophonie「フランコフォニー」
G = Grammaire「文法」
H = Hakusuisha「白水社」
I = Institut français du Japon - Tokyo「アンスティチュ・フランセ東京」
J = Journal intime「日記」
K = Kiyooka「清岡ブランド」
L = Librairie「書店」
M = Musique「音楽」
N = Nippon Hoso Kyokai「NHK」
O = Ordinateur「コンピュータ」
P = Poésie「詩」
Q = Quotidiens「日刊紙」
R = Radio France「ラジオ・フランス」
S = Sports「スポーツ」
T = Tricolor Paris「トリコロル・パリ」
U = Universités「大学」
V = Voyage「旅」
W = Web France「web ふらんす」
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Athénée français
アテネ・フランセ
JR 御茶ノ水駅を降りて、水道橋方向に5 分ほど歩いて行くと、急な下り坂になります。その手前、左方向にアテネ・フランセAthénée français はあります。Athénée はギリシアの都市アテネではありません(それはAthènes アテーヌ)。実は「講堂」という意味の男性名詞です。
さらに仏仏辞典で詳しく調べると、「一般に公開されているが、公的ではない講演や講義を行う施設」と定義されています。つまり国の管轄下に置かれた教育機関ではなく、市民が自由に集って学ぶ場所だということです。
アテネ・フランセは創立100 年以上の歴史を持つ日本最古のフランス語学校ですが、その建学の精神はこの単語に集約されていると言えるでしょう。ここはフランス語を学びたいすべての人に開かれた「フランス語の学び舎」なのです。
授業は入門レベルから上級レベルまで揃っています。会話、ビジネス仏語、仏検対策、文学、哲学などさまざまな内容のクラスが開講されています。またフランス語に加え、英語のクラス、そしてラテン語とギリシア語のクラスもあります。
さてこの文章を書いているのは本誌で「仏語放談」を絶賛(?)連載中のクニーであります。実は、ワタクシ、この学校の卒業生なのです。ここで本格的にフランス語を学び始め、アテネ・フランセで授業を担当できる「教授資格」も取得しました。
私が主に勉強したのは視聴覚総合コース「サンテティック」です。とにかくインテンシブなのです! 月・水・金の週3 回、1 日8 時間の授業が3 か月間続きます。さらに宿題も山ほど出るので、授業がない日も丸一日勉強です。
コースは3 段階に分かれていますが、第1 段階は基礎徹底。特に音声学の理論に基づいた発音の仕組みと、文の構造を把握するための文法分析を学びます。その上でフランス語を聞いて、質問に正確に(標準的な発音で、文法的誤りがなく)答えられるまで練習をします。本格的に仏語を学びたいならば、大変ではあっても、このクラスはお勧めです。
ところでアテネ・フランセの建物、屋根は濃紫、壁はピンクで、その壁にはアルファべの文字がくり抜かれています。それがとにかくかわいくて、いまや「インスタの聖地」となって、連日この壁の前で写真を撮る人が後を絶ちません。建物内にはシネマテーク、カフェ、落ち着いた図書室もあります。ぜひ一度足を運んでみませんか?
アテネ・フランセ
https://www.athenee.jp/
筆者@「インスタの聖地」としても人気の校舎
(國枝孝弘 慶應義塾大学教授)
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Hakusuisha
白水社
フランス語的には「アクスイシャ」ですが、「ハクスイシャ」と読んでください。
創業は1915 年、今年で103 年目を迎えます。1921 年に日本初となる本格的な仏和辞典『模範佛和大辞典』を刊行し、大正・昭和・平成と、長年にわたりフランス語の学習書や翻訳書を出版してきたという歴史もあって、ありがたいことに「フランス語の白水社」と呼ばれているようです。他の言語の辞書や参考書も多数刊行しているのですが、現在も、数としてはフランス語関連の書籍が一番多く、出版社としてはかなり珍しい存在と言っていいでしょう。
この白水社の辞典、参考書や問題集を、ぜひとも学習にご活用いただければと思います。『白水社 辞典・語学書カタログ』やホームページには、やわらかい「フラ語」シリーズから、おカタい『現代フランス広文典[改訂版]』まで、80 点以上が紹介されています。「でも、どれを選べばいいのかわからない……」という方のために、参考書を2 冊ご紹介します。
「ふらんす」の読者の方なら、「会話でもメールでも、文法知識が不可欠」ということにはすでにお気づきでしょう。そこで、「ひととおり文法はやったのだけれども、今ひとつあやふや」という初級修了者にお勧めしたいのが、『15 日間フランス文法おさらい帳』です。全15 課、簡潔明解な解説と、ヒント付の「おさらい問題1&2」で文法をさらったのち、30 問から成る「実力テスト」に挑戦。基本をおさえつつ、2、3 問はかなり高レベルの問題が含まれています。おさらいをするうちに、曖昧だった知識が頭の中で整理されていくことを実感できるはずです。そして、できなかった問題だけが自分の苦手項目。そこを集中的に習得すれば、確実に実力アップできるというのが、この問題集の特長です。
もう1 冊は『声に出すフランス語 即答練習ドリル』です。文法には自信があっても、会話は独学ではなかなか機会がありません。目で文章を追うのではなく、音を聞いただけで即答できるような「耳」と「口」は、繰り返し練習によって鍛えることができます。CD2 枚に、たっぷり1200 題。地味ながら、着実に力をつけることができるドリルです。自信のある方は、同シリーズの「中級編」もどうぞ。
こんなふうに、さまざまなレベル、ジャンルの本が、みなさんとの出会いをお待ちしております。この春からぜひご活用ください!
白水社の語学書
https://www.hakusuisha.co.jp/language/
(白水社語学書編集部)
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Institut français du Japon-Tokyo
アンスティチュ・フランセ東京
アンスティチュ・フランセ東京の授業風景
アンスティチュ・フランセ日本はフランス政府公式の文化機関です。東京、横浜、関西(大阪/京都)、九州(福岡)の4 支部を拠点にフランス政府公式機関としてフランス語講座を開講し、フランス発の文化、思想、学問を発信しています。名古屋、札幌、仙台、徳島のアリアンス・フランセーズとともに、アジアにおける最大のフランス文化機関ネットワークとなっています。
今年は日仏交流160 周年記念の年です。その長い歴史には及びませんが、アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)は1952 年に創立されました。
アンスティチュ・フランセ東京は、総合フランス語、ビジネスフランス語講座DELF / DALF など資格試験準備講座、そして美術、チーズ、ワイン、シャンソン、歴史、ライフスタイルなどついて学ぶ文化講座など、入門から上級レベルに対応した多彩な講座を提供しています。さらに通信講座では、郵便、インターネットを使って自宅にいながら質の高いフランス語教育を受けることができます。また、学校やコース選択、事務手続き、出発までの充実した個別フォローが受けられるフランス語学留学サポートも利用することができ、様々な角度からのフランス語学習と多彩な学習方法をご用意しています。
フランス語の教育機関、試験センターであると同時に、フランスの文化センターとしての役割も担っており、年間を通して映画、現代アートの展覧会、文学やバンド・デシネ作家の講演会、コンサートなどを開催しています。今年もフランスとフランス語圏の文化を紹介する「フランコフォニーのお祭り」(3 月)、Fête nationale française を再現した「パリ祭」(7 月)、旬のアーティストを迎えて音楽を楽しむ「音楽の日」(6 月)、ガストロノミーを堪能する「美食の祭典」(9 月)など子どもから大人まで楽しめるフェスティバルをお楽しみいただけます。
施設内にはフランス語の書籍、マンガ、雑誌、DVD / CD や電子図書館Culturethèque が無料で閲覧できる「メディアテーク」(図書室)、フランス語の書籍を扱う欧明社書店、人気のフレンチレストラン「ラ・ブラスリー」を併設しており、どなたでも自由にご利用いただけます。日本にいながらフランスを体感できる心地よい環境で、ぜひフランス語に触れてみてはいかがでしょうか。
アンスティチュ・フランセ東京
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/
(アンスティチュ・フランセ東京広報部)
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Librairie
書店
欧明社本店のスタッフ。どんな相談にも対応します!
一度、洋書に挑戦してみたい、フランス語の参考書を買いたい、と思っても、本は実際に書店で手にとってみないとわからないことも多いもの。そんなとき、きっとお役に立てる書店、それが欧明社です。
欧明社は1947 年創業のフランス語書籍の専門店。フランスで出版されている話題の新刊書、児童書、BD(バンド・デシネ)、料理書、ガイドブック、辞書、参考書、DELF/DALF やTCF の問題集、また、日本文学の仏訳書、新聞・雑誌、CD、DVD や文具にいたるまで、まるでパリの書店のような品揃えです。一方、日本でフランス語を学習している方々のご要望に応えられるよう、日本で出版されているフランス語の辞書、参考書、仏検問題集なども幅広く取り揃えており、おそらく全国のどこの大型書店よりも、フランス語の参考書は揃っているはずです。
東京飯田橋の本店のほか、アテネ・フランセ内のアテネ・フランセ店、アンスティチュ・フランセ東京内のリヴ・ゴーシュ店と全部で3 店舗あります。また東京以外の地域にお住まいの方にも広くご利用いただけるよう、欧明社ホームページwww.omeisha.com からの注文も受けつけています。国内在庫のない書籍は最短で3 ~ 4 週間で入荷。アマゾンから輸入した際の送料やアフターサービスなどを考えると、欧明社で買う方が安くて安心と評判です。
欧明社ホームページでは、新刊書・ベストセラーの紹介はもちろん、ジャンル別の書籍リストをたえず更新しており、ツイッターやブログでもさまざまな情報を発信しています。ぜひ一度のぞいてみてください。フランス語関連リンクのリストは、意外に役立ちます。テレビ番組の多くは見られませんが、それでも我慢強くチェックしてクリックすると、思わぬ番組に出会えることも! あえて申し上げませんが、ぜひ諦めず試してみることをオススメいたします。
本店には雑誌「ふらんす」のバックナンバーもたえず取り揃えています。もし買い忘れてしまった号があれば、ぜひいらしてください。またネット販売で「ふらんす」のバックナンバーを確実に買えるのは、欧明社だけです。
フランスから作家が来日するときには、大使館と協力し、関連書籍の販売・作家のサイン会などのお手伝いもしています。パリのエスプリ香る欧明社に、ぜひ一度お立ち寄りください。
欧明社
http://www.omeisha.com/
(欧明社 奥山由紀夫)
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Web France
webふらんす
「ふらんす」読者のみなさん、「web ふらんす」はもうご覧いただけましたでしょうか。
web ふらんすは、昨年9 月に白水社のウェブマガジンとしてオープンしました。内容は、本誌「ふらんす」(最新号・バックナンバー)の記事・連載の一部と、ウェブ独自記事・連載の大きく2 つに分けられます。ここでは、「ふらんす」読者のみなさんにぜひ知っていただきたいweb ふらんすのおススメポイントを3 つご紹介します。
1 つめは、「ふらんす」の過去の記事の一部が読めること。宮下志朗さんの「モンテーニュ『エセー』を読む」、倉方健作さんの「ふらんす90 年」、岩崎力さんの「敬虔な思い出たち マルグリット・ユルスナール」など、過去の豪華連載がお読みいただけます。3 年目に突入の人気連載、福島祥行さんと國枝孝弘さんによる「ヨシとクニーのかっ飛ばし仏語放談」のバックナンバーも! お二人の楽しくて深いトークをご堪能あれ。
2 つめは、フランス関係の情報が充実していること。「フランス関連情報」では、「ふらんす」編集部が厳選したフランス関係のイベント(講演会、展覧会、演奏会など)や映画などの情報を掲載しています。本誌巻末「さえら」の情報が主ですが、その他にも、タイミングや紙幅の関係で本誌に掲載できなかった情報も随時アップ。フランス文化に関心をお持ちの「ふらんす」読者のみなさんにはきっとお役立ていただけると思います。
3 つめは、幅広いジャンルの記事が読めること。web ふらんすは、白水社のウェブメディアとして、フランス関係のみならず、さまざまなジャンルの記事を掲載していきます。現在は根井雅弘さんの「英語原典で読む経済学史」が連載中。多様な読みものをぜひお楽しみください。
いかがですか? 今すぐPC やスマホを開いてweb ふらんすのサイトを見てみたい!という気持ちになってきたのではないでしょうか? 雑誌「ふらんす」とあわせてweb ふらんすをチェックすれば、あなたのフレンチ・ライフがますます充実すること間違いなし。みなさまのアクセスをお待ちしています!
(web ふらんす編集部)
*『ふらんす』2018年4月号の特集「フランス語、どこで学びますか?」では、「フランス語のABC」の全項目、「【CD 収録】続・日本人が知りたいフランス人の当たり前 vol.2」釣馨・武内英公子・Ghislan Mouton、「フランス語いろいろ情報」も掲載しています。ぜひあわせてご覧ください。