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特集「フランス目線の京都案内」

『ふらんす』2018年10月号から、特集の一部をご紹介します。

 パリは、京都にとって初めての姉妹都市。他に類のない歴史・文化を誇るこの2つの国際都市が1958年に友情盟約を締結してから、今年で60周年を迎えます。

 フランス人も大好きな京都。日本の都市のなかでも、街を歩いていてフランス語を耳にすることがめずらしくない土地が京都だといえるかもしれません。秋の紅葉シーズンに向けて神社仏閣の特別拝観や夜間拝観も増えるこの時期、京都・パリ友情盟約締結60周年記念の数々の行事も重なり、フランス語学習者にとっては2倍楽しめるチャンスだといえるでしょう。フランスとの関わりから、あるいはフランス的(?)な角度から、京都を再発見してみませんか?

 そこで、「フランス語で京都散策」と題して、スキットを5つご用意しました。まずは、京都の地理を確認しましょう。街の真ん中をながれる鴨川(賀茂川)は、さしずめ京都のセーヌでしょうか(1. 京都の空の下、鴨川は流れる(下記掲載))。そして、京都にフランス文化を根付かせた立役者といえば、やはり「詩人大使」ポール・クローデルの存在を忘れることはできません(2. ポール・クローデルと京都)。また京都といえば、茶の文化。江戸時代に作られた学問所でお茶を頂きます(3. 江戸時代の学問所で茶を頂く)。つづいて、京都の台所「錦市場」をたずねます(4. 錦市場で京の食文化にふれる)。そして最後は、鴨川の合流点、京阪電車の終点出町柳駅から叡山電車に揺られて、京都最大のパワースポットとも言われる鞍馬山へ向かいましょう(5. 叡山電車に乗って、いざ鞍馬山へ)。

 この秋、京都旅行を考えているひとも、そうでないひとも、いつもとは少し違った目線で京都を見てみませんか? きっと京都でフランス語を使ってみたくなるはず!「フランス語で京都散策」、C’est parti !

(編集部)

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1 京都の空の下、鴨川は流れる

Julie : C’est ma première visite à Kyoto. La rivière qui coule au milieu de la ville, ça me rappelle un peu la ville de Paris.

Kenji : En effet. L’ancien président Jacques Chirac aurait proposé la construction d’un « Pont des Arts », un pont réservé aux piétons sur la rivière Kamo-gawa, entre Sanjo-dori et Shijo-dori.

Julie : Vraiment ? C’est dommage que ça n’ait pas été fait... À Kyoto, c’est très agréable d’être entouré de montagnes et de collines, qui reflètent les quatre saisons. Tu habites de quel côté de la rivière ?

Kenji : Du côté est de la rivière, dans l’arrondissement de Sakyo-ku. Et toi, tu habites rive gauche ou rive droite à Paris ?

Julie : Rive gauche, dans le Quartier latin, c’est le quartier étudiant.


ジュリー:京都に来るのは初めてです。街の真ん中を川が流れていて、少しパリを思わせます。

ケンジ:そうですね。ジャック・シラク元大統領が、鴨川の三条と四条のあいだに歩行者専用の「芸術橋(ポン・デ・ザール)」を架けたらどうかって提案したこともあったらしいですよ。

ジュリー:そうなんですか。実現しなくて残念ですね。京都は山に囲まれているのがいいですね。四季を感じられて。あなたは鴨川のどちら側に住んでいるの?

ケンジ:僕は鴨川の東側、左京区に住んでいます。君はパリの左岸、右岸どちらに住んでいるの?

ジュリー:左岸です。学生街のカルチエ・ラタンに住んでいます。

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京都市は上京(かみぎょう)・中京(なかぎょう)・下京(しもぎょう)・左京・右京など11の区からなっています。京都の地理を大まかに把握するためにも、まず自転車で散策してみるのがおススメです。自転車をレンタルできる宿も増えていますし、街のあちこちにレンタル店が見受けられます。地図では右側にあるのが左京区、左側が右京区ですが、これは「天子、南面す」と言われるように、御所にいる帝(みかど)が南を向いて座していたため。パリの右岸・左岸は、セーヌ河の水の流れに沿って左右が決まっていますが、京都も結果的に鴨川の流れに沿って左が左京、右が右京です。パリの左岸にはソルボンヌを中心とした学生街がありますが、京都大学を中心とした左京区の学生街の雰囲気とも、どこか共通するところがあるかもしれません。

『ふらんす』2018年10月号では、「フランス語で京都散策」全5スキット、関口涼子さんの「「よそ者」視点の京都ガイド」、甲斐扶佐義さんの「
法然院を案内する ~もう一つの〈哲学の道〉へ~」「京都ノスタルジア ほんやら洞・八文字屋の人々〈1〉」を掲載しています。ぜひあわせてご覧ください。

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