イベント情報(『ふらんす』2025年1月号掲載)
展覧会
◉「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」
豊かな色彩に溢れる現代社会。私たちの身の周りには空の色、自然の色、街並みの色、生活用品の色などに加えて、さまざまなサイズの画面が表示する色があり、最新のモニターやスマートフォンにおいては10億色を超える色の再現力をもつと言われています。いま人間は、かつて経験したことのなかった色彩世界に暮らしているといっても過言ではありません。この展覧会は、近代から現代までの美術家たちが獲得してきた「色彩」とその表現に注目し、色彩論や色を表現する素材との関係に触れながら、色彩の役割についてあらためて考察するものです。チューブ入りの油絵具を巧みに扱い、さまざまな色彩によって視覚世界を再構築した19世紀の印象派や新印象派をはじめ、20世紀のフォーヴィスムの絵画や抽象絵画、そして色彩の影響力によって観る者の身体感覚をゆさぶる現代アートにいたる近現代の色彩の歴史を、おもに絵画や彫刻、インスタレーションによって読み直します。日々研究を重ね、独自の表現方法を編み出し、時代を表してきた美術家たち―クロード・モネ、ジョルジュ・スーラ、ロベール・ドローネー、アンリ・マティス、ピエール・ボナール、ゲルハルト・リヒター、ヴォルフガング・ティルマンス、グオリャン・タン、杉本博司、門田光雅、山田航平、草間彌生など―が人生をかけて生み出した色彩の秘密に目を向けてみましょう。その経験は、自身のなかに眠っている「本当の色」を呼び覚ましてくれるかもしれません。会期:2024年12月14日(土)~2025年5月18日(日)、会場:ポーラ美術館 展示室 1, 2, 3, アトリウム ギャラリー、[URL]https://www.polamuseum.or.jp/sp/colors/
映画
◉劇場アニメ『ベルサイユのばら』
革命期のフランスで懸命に生きる人々の、愛と人生を鮮やかに描いた池田理代子の漫画『ベルサイユのばら』は、「週刊マーガレット」(集英社)にて1972年より連載がスタート。単行本の累計発行部数は現在までに2000万部を突破した大ヒット作です。不自由な時代の中で、身分や性別を乗り越え自身の手で人生を選びとり、フランス革命へと飛び込んでいく美しいオスカルの生き様は、少女たちの共感、そして憧れを一身に集め、連載中から読者の熱狂的な支持を得てきました。その後、宝塚歌劇団による舞台化やTVアニメ化もされ、日本中で社会現象となるなど、この作品に直接・間接に触れ、フランス史に目覚めた人も少なくないに違いありません。そんな記念碑的作品の、完全新作での劇場アニメがついに公開となります。連載開始から50年以上の時を経てなお、全く色あせることのない『ベルサイユのばら』の世界。オスカル、アントワネット、アンドレ、フェルゼンらの生き様やその物語が、今新たに幕を開けます。2025年1月31日(金)より全国ロードショー、[URL]https://verbara-movie.jp/ticket/
◉『エマニュエル』
1974年に映画化され、全世界を熱狂で包んだ官能文学の傑作「エマニエル夫人」を、ヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞した新鋭監督オードレイ・ディヴァンが、新たな解釈で現代に甦らせました。主演は、『燃ゆる女の肖像』(20)、『TAR/ター』(23)のノエミ・メルラン。2024年、スペインのサン・セバスティアン国際映画祭にて、オープニング作品としてワールドプレミアを迎えた話題作です。エマニュエルは仕事でオーナーからの査察依頼を受け、香港の高級ホテルに滞在しながらその裏側を調べ始めるが、ホテル関係者や妖しげな宿泊客たちとの交流は、彼女を「禁断の快感」へといざない―世界を虜にしたあの「エマニエル夫人」が現代に生まれ変わる! 監督:オードレイ・ディヴァン(『あのこと』)、出演:ノエミ・メルラン、ナオミ・ワッツ。2025年1月10日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開、[URL]https://gaga.ne.jp/emmanuelle/