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【特別寄稿】「国際フランス語教授連合(FIPF)第4回アジア太平洋大会(京都大会)報告」小松祐子

【特別寄稿】
「国際フランス語教授連合(FIPF)第4回アジア太平洋大会(京都大会)報告」
小松祐子

 2017年9月20日からの4日間、京都大学キャンパスはフランス語の熱気に包まれました。日本フランス語教育学会(以下SJDF)の主催により、国際フランス語教授連合(以下FIPF)第4回アジア太平洋大会が開催されたのです。世界56か国から約400名が参加し、フランス語教育への情熱や知見を分かち合う機会となりました。

 ジャン=マルク・デュファイスFIPF会長がベルギーから参加したほか、フランス語圏諸国からフランス語教育専門家や作家約10名を招き、講演・アトリエ各約10件、ターブルロンド約30件、個人発表200件以上という充実したプログラムの大会となりました。今大会は「フランス語を通じた言語生態系の保持と言語的多様性」をテーマに掲げ、グローバル化進展のなかでのフランス語教育の課題・展望、他言語との連帯、域内関係者の協力について、さまざまな意見が交わされました。

 FIPF傘下22か国24団体を擁するアジア太平洋地域では、2006年に第1回台北大会が開催された後、2010年シドニー大会、2013年チェンナイ(インド)大会が開かれ、域内フランス語関係者の研究・実践上の交流、連帯を深める重要な機会となってきました。第4回の京都大会は過去3回を大幅に上回る規模となり、域外からも多くの参加者がありました。また今回の大会に先立ち、アジア太平洋地域各国のフランス語教育学会代表と各国フランス大使館の言語協力担当官あわせて約50名が一堂に会し、初めての地域フランス語教育戦略会議が開催されたことは、歴史的快挙と言えましょう。域内の現状を確認し、フランス語イメージや教授法の刷新を目指し今後3年間の活動計画を話し合いました。

 1996年に東京で開催されたFIPF世界大会から約20年を経て、再び日本でこのようなFIPFの大規模な大会を開催することができたことは、日本のフランス語関係者にとって大変喜ばしいことです。この大会は日本学術振興会、アンスティチュ・フランセ、京都府・京都市などの財政支援、西山教行大会実行委員長をはじめ、SJDF会員のボランティアによる献身的な働きによって実現したことを加えさせていただきます。この場をお借りしてご協力ご尽力くださった皆さまにお礼を申上げたいと思います。

 2018年11月には台北にて、台湾・韓国・モンゴル・日本のフランス語教育学会による4か国共催国際大会が予定されており、地域の仲間たちとは1年後の再会を誓って別れたのでした。

(こまつ・さちこ/お茶の水女子大学准教授・SJDF副会長・FIPFアジア太平洋委員会幹事長)

◇初出=『ふらんす』2017年12月号

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