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「アクチュアリテ アート&スペクタクル」岡田Victoria朋子

フランスの美術館、次々と再オープン!

 6月15日から社会機能がほぼ通常に戻ったフランス。多くの美術館はその少し前から再オープンすることを発表し始めた。いずれも入場者数制限のため時間帯予約制を取り入れ、マスクの着用を義務づけている。

 ヴェルサイユ宮殿は15日の政府発表を待つことなく、6日から訪問者を迎えている。夏期の庭園での催し(音楽庭園、大噴水ショー)も10月31日まで通常どおり開催。


再オープン直後、まだ人影がまばらなヴェルサイユ宮殿
© Frédérique Reibel

 美術館として再オープンのトップバッターを切ったのは、非西洋圏のアートを紹介するケ・ブランリ博物館Musée du Quai Branlyで、6月9日から再開。9月27日までコスメティック会社を創設したヘレン・ルービンシュタインのコレクション展を見ることができる。他にも、18か国26人のアーティストが写真・ビデオ・インスタレーションなどで「画像」との関係を問いただす2つの展覧会が11月1日まで開催されている。

 オルセー美術館は6月23日のオープンとともに、大きな期待が寄せられていたジェームス・ティソ展を公開。変動する19世紀後半のパリ(第二帝政)とロンドン(1870~80年)の社会を、上流階級の風俗、生活を通して描いたティソの大回顧展。9月13日まで。

 7月1日にはグラン・パレとポンピドゥセンターが再オープン。グラン・パレのポンペイ展では、最近の発掘・修復作業に伴う多くの新発見によって再検証がなされつつあるポンペイ考古学の今を、豊富な資料に基づいてわかりやすく紹介する。外出禁止令中はビデオなどを配信し、のべ100万件の視聴を記録。興味の程が伺える。9月27日まで。


ポンペイ展のチラシ

 ポンピドゥセンターは10月19日までモニュメント梱包で有名なクリストの展覧会が。5月31日に逝去したが、今秋予定されていた凱旋門の梱包プロジェクトは、来年秋に延期して実現される。


The Pont-Neuf Wrapped (Project for Paris), 1985 [Le Pont-Neuf empaqueté (Projet pour Paris)], Collection de l’artiste (© Christo 1985 Photo © Centre Pompidou, Philippe Migeat)

 ルーヴル美術館は7月6日に再開した。予定されていた特別展は全て秋に延期されたので、当面は常設展のみ。

ヴェルサイユ宮殿
http://en.chateauversailles.fr/visiting-conditions-summer-2020

ケ・ブランリ博物館
http://www.quaibranly.fr

オルセー美術館
https://www.musee-orsay.fr/

グラン・パレ
https://www.grandpalais.fr/fr/evenement/pompei

ポンピドゥセンター
https://www.centrepompidou.fr/

ルーヴル美術館
https://www.louvre.fr/

◇初出=『ふらんす』2020年8月号

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著者略歴

  1. 岡田Victoria朋子(おかだ・ヴィクトリア・ともこ)

    ソルボンヌ大学音楽学博士、同大学院客員研究員。国際音楽評論家協会理事。翻訳家

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