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「アクチュアリテ スポーツ」芦立一義

2017年5月号 フォーミュラE パリ大会

フォーミュラE パリ大会

 今年もまた、パリでフォーミュラEレースが開催される。電気自動車フォーミュラカーによる選手権は2016-2017年(12レース)に3度目のシーズンを迎え、パリでの開催は昨シーズンに続いて2度目となる。前回に続き、今回もアンヴァリッドを囲む全長約2キロメートルの市街地コースにて、5月20日に行なわれる。日本ではテレビ朝日で放送予定である他、同局ウェブサイト内でレースのハイライト映像を見ることができる。フォーミュラEでは最高速度が時速200キロ弱にまで抑えられてはいるものの、特にコース幅の狭いパリの市街地で行なわれるレースはそれを感じさせないほどスピード感があり、また歴史的な建物と最新テクノロジーのコントラストもパリ大会の魅力となっている。

 近年のパリはこうしたイベントの開催誘致に積極的である。昨年はサッカーEURO2016 の会場の1つであったし、現在も2024年のオリンピック、2025年の万国博覧会の開催地候補で、また2023年のラグビーワールドカップの開催国がフランスに決まればパリももちろん開催地となるだろう。それらと比べるとフォーミュラEの開催は規模も予算も小さいが、誘致をめぐっては財政とは別の観点からの異論の方が注目を集めた。

 フォーミュラEはCO2を排出しないということで、環境に優しい次世代モータースポーツと考えられている。パリは特に、2015年にCOP21でパリ協定が締約された地で、環境政策にも重点を置いている。電気を動力とするバスやトラムなどの整備にも力を入れている他、2011年にサービスが開始された市営レンタル電気自動車Autolibʼは現在では多くのパリ郊外の自治体も事業に参加、ステーションの設置エリアはますます拡大している。フォーミュラEの開催は環境を配慮した都市のイメージを促進するものでもあるが、他方で開催のための会場整備に必要な資材の船舶やトラックによる運搬で排出されるCO2を問題視する声もある。さらに、コースに使用されるアンヴァリッド周辺の石畳を保護するために施される一時的な舗装工事もエコロジカルではないと指摘されている。これについては、舗装には再利用可能な資材を使いると主催者側は説明する。

 昨シーズンのフォーミュラE選手権最終戦で、同選手権はISO20121の認証を受けた。環境を配慮した持続可能なイベント運営が認められたということである。フォーミュラEはその開発理念自体が環境に配慮した未来の自動車づくりであり、電気自動車の普及促進のためにあえてパリのような大都市の市街地コースで開催されている。

 

◇初出=『ふらんす』2017年5月号

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著者略歴

  1. 芦立一義(あしだて・かずよし)

    パリ第12大学Master2(哲学)修了。仏哲学

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