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「アクチュアリテ 映画」佐藤久理子

2017年7月号 第70回カンヌ映画祭

第70回カンヌ映画祭

 70周年を迎えるカンヌ国際映画祭が、5月17日から12日間にわたって開催された。今年は節目にあたり、日本映画の参加も長編4 本と例年に比べて多いことから、日本でも話題にのぼったのではないだろうか。フランス映画もいつになく多く、セレクションはビッグネームたちの激戦となったようだ。

 オープニングはアルノー・デプレシャンのLes Fantômes d’Ismaël が選ばれ、コンペティションにはミシェル・アザナビシウスが、ジャン= リュック・ゴダールと『中国女』の主演女優アンヌ・ヴィアゼムスキーとの仲を描いたLe Redoutable、フランソワ・オゾンの心理サスペンスL’Amant double、ジャック・ドワイヨンが彫刻家ロダンの半生を描いたRodin、『パリ20区、僕たちのクラス』の脚本家として知られるロバン・カンピヨの監督作120 Battements par minute の4本。また合作として、ミヒャエル・ハネケがジャン= ルイ・トランティニャン、イザベル・ユペールらを起用しフランスで撮影したHappy End がある。他に注目作として、ある視点部門のオープニングを飾った、歌手バルバラを描いたマチュー・アマルリックのBarbara、併設の監督週間部門に選ばれたクレール・ドゥニのコメディUn Beau soleil intérieur、フィリップ・ガレルの3部作の最終章にあたるL’Amant d’un jour、ブリュノ・デュモンがジャンヌ・ダルクの幼少時代を描いたミュージカルJeannette, l’enfance de Jeanne d’Arc など。アウト・オブ・コンペティションにはベテラン監督による3本のドキュメンタリーが並んだ。クロード・ランズマンが北朝鮮を訪れたNapalm と、レイモン・ドパルドンが精神科の患者を取り上げた12 Jours、アニエス・ヴァルダが写真家JR とフランス各地を回ったロード・ドキュメンタリー、Visages Villages

 デプレシャンの作品は、カンヌと同時にフランスでも劇場公開された。マリオン・コティヤール、シャルロット・ゲンズブール、マチュー・アマルリック、ルイ・ガレルという、フランスを代表する実力派俳優たちが集合。もっとも、内容はこの監督らしく、パーソナルなストーリーだ。かつて失踪した恋人が、長い年月を経てある日突然、主人公イスマエルの前に現れる。彼女から大きなトラウマを与えられた彼は、新しい恋人がいるにも拘らず、動揺する。それと並行して、政治家であるイスマエルの兄の話も語られるが、恋愛ストーリーとサスペンスという異なる要素がいまひとつ、うまく統合しきれていない印象はある。

 パルムドールには、現代アートの世界を皮肉たっぷりに描いたスウェーデン映画、The Square が選ばれた。

 

◇初出=『ふらんす』2017年7月号

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著者略歴

  1. 佐藤久理子(さとう・くりこ)

    在仏映画ジャーナリスト。著書『映画で歩くパリ』

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