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「アクチュアリテ 食」関口涼子

2017年12月号 サロン・ド・サケ2017


サロン・ド・サケの会場

 パリの秋は、文化・芸術を始めとしてイベントには事欠かないが、食の分野で見逃せないものに、10月7日から9日まで行われた「サロン・ド・サケSalon du Saké」がある。2013年から行われているこの日本酒見本市は、現在では約400銘柄が紹介される、活気溢れるイベントになっている。今年はとくに画期的な点が2点あった。

 1つは、フランスで初めて行われた日本酒コンクール、「蔵マスター」の授賞式。これは、日本酒にも詳しいフランス人のソムリエや食の関係者たちが日本酒の品評会を行うというものだ。なぜフランス人が?と思うかもしれないが、私たち日本人もワインの好みや良し悪しについて語ることができるように、他の国で、日本酒が地元の食と結びつけて自由に語られるようになった時、初めて日本酒が国際化したと言えるのだろう(イギリスではすでに、醸造酒の種類を問わず品評するコンクールがある)。

 もう1つは、フランスで日本酒造りを始める人たちが出てきたこと。現在商品化されているのは2件だが、来年参入する蔵元を入れると5件になる。その中には、日本人の杜氏・蔵人もいるが、フランス人自身が、日本で醸造を学び酒造りをしているケースもある。

 彼らが作ろうとしているお酒は様々だ。日本の蔵元と共同で酒を造り、日本でも販売している人もいれば、カマルグの有機農法のお米、ゲランドの塩での酒造りを試みている人もいる。ガストロノミの世界で賞味してもらうことを目的に作られたお酒もあれば、フランス料理に使える料理酒を目指して作られたお酒もある。どの酒も、それぞれの作り手と日本、日本酒との独自の出会いを物語っている。

 日本酒の海外輸出額は数パーセントとまだ多くはないが、フランスだけをとっても、日本酒に対する理解が進んでいるのは確かだ。とくに、日本旅行の際に日本酒の魅力と奥深さに触れたという若い世代が多く、フランスで日本酒造りを試みているのもこうした世代だと言える。

 来年はさらに、パリでの日本文化紹介の年である「ジャポニスム2018」の枠で、パリの様々なシェフやレストランと蔵元との出会いが企画されている。
http://salon-du-sake.fr

◇初出=『ふらんす』2017年12月号

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著者略歴

  1. 関口涼子(せきぐち・りょうこ)

    著述家・翻訳家。著書Fade、La voix sombre、訳書シャモワゾー『素晴らしきソリボ』

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