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「アクチュアリテ 食」関口涼子

2017年9月号 フランスでもブームのクラフトビール

フランスでもブームのクラフトビール

 夏といえば日本では何と言ってもビールだが、フランスとビールはあまり結びつかないイメージがある。しかし、世界的なクラフトビール流行の波は数年前から確実にフランスにも訪れている。

 ドリンクリストにクラフトビールを載せる飲食店が少しずつ出てきて、それなりのレストランでも、ディナーでの最初の一杯を、白ワインやシャンパーニュではなくビールから始める人も珍しくない。ブルゴーニュのワインの品揃えが良い店が同時にブルゴーニュのビールを提供することもあるし、ビールとのペアリングディナーのイベントなども定期的に企画されている。大手ビール会社に押され、1980 年代には30 数件にまで減っていたフランスのビール醸造所だが、現在その数は1000 以上にまで増えている。

 パリ発の「地ビール」もなかなか個性的だ。オーガニックビール専門の「ラ・パリジエンヌ」、麦芽の加工からボトリングまで11 区で行う「バップ・バップ」、18 区の下町テイストを生かしたビールを提供する「ラ・ブラッスリー・ド・ラ・グット・ドール」、ビール製造マニュアル本も出版している「ラ・モントルイロワーズ」など、その多くが、この4、5 年の間に現れてきた醸造所で、その数は増える一方だ。直接ビールを購入できる醸造所や、ビールの醸造ワークショップを行っている場所もある。

 ビールの見本市も行われている。6 月30 日から7 月2 日まで開かれたイベント「モンディアル・ド・ラ・ビエール」には、100 の醸造所ブースが参加し、500 種類のクラフトビールを試飲・購入し、ビールに合わせたフランス料理を試すことができた。

 さらには、シリル・リニャックや、グレゴリー・マルシャンのように、自分のビールを作るシェフも現れてきた。

 ここ数年のパリでの日本酒ブームもそうだが、カクテルやお茶とのペアリングを提供するフランス料理レストランや、ウイスキー専門バーの現れなど、外食における飲み物の選択肢は少しずつ広がりつつある。また、クラフトビールの流行は、オーガニックワインなど、より生産者の顔が見える、個性を持った飲み物を消費者が求めている動きとも重なっているのだろう。クラフトビールの流行は当分衰える気配はない。

 

◇初出=『ふらんす』2017年9月号

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著者略歴

  1. 関口涼子(せきぐち・りょうこ)

    著述家・翻訳家。著書Fade、La voix sombre、訳書シャモワゾー『素晴らしきソリボ』

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