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「アクチュアリテ スポーツ」芦立一義

2017年9月号 パリ五輪、開催は決定

パリ五輪、開催は決定

 7 月12 日にローザンヌで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、パリ大会の開催が決定した。

 正確には、東京大会に続く2024 年とさらに4 年後の2028 年の2 大会が、パリとロサンゼルスのいずれかの都市でそれぞれ開催されるということである。両大会の開催国が最終的に決定するのは9月13 日にリマで行なわれる総会を待たなければならないが、ローザンヌ総会ではパリとロサンゼルスが今回のような2大会の開催国同時決定を受け入れ、IOC側もそれを承認したという段階にとどまる。2024 年でなければ招致しないという立場をとっていたパリも2028 年開催の可能性を正式に受け入れたことになる。

 IOC 委員長トーマス・バッハは、パリのオリンピック会場整備計画を称賛しているものの、準備費用の見積もりについては懸念を示している。パリが打ち出した見積もり費用は62 億ユーロ(約8000 億円)で、実際に予算を大幅に越えて1 兆円以上の開催費用がかかったリオ大会、ロンドン大会、さらに現在準備中の東京大会のケースなどと比べても慎重になる必要がある。

 ローザンヌでのプレゼンテーションには、イダルゴ市長はもちろん、マクロン大統領も出席し、ツイッターでの一言にとどまったトランプ大統領とは対照的に、国を挙げてオリンピック開催を支持しているような印象を与えた。2028 年開催の可能性を受け入れつつも、2024 年開催を勝ち取ることを望んでおり、9 月13 日の正式決定まで、ロサンゼルス、IOC との水面下協議が進められると思われる。2028 年開催となった場合、ロサンゼルスはIOC から助成される4 億ユーロの補助金や経済効果について前向きに考える余地があることを示しており、パリはそこに交渉の余地を見出す。あるいは既に答えは出ているのかもしれないが。

 ローザンヌでは、2006 年にノーベル平和賞を受賞したバングラディシュの経済学者、実業家のムハマド・ユヌスもパリをアピールするプレゼンを行なっている。ユヌスは2008 年からシラク財団の名誉委員としてフランスとの繫がりをもち、「なぜパリに活動拠点をつくらないのか」とイダルゴ市長から打診されたことを契機にパリ招致活動を支援することになった。オリンピックあるいはスポーツが世界を変えるとは言わないまでも、そのために大きな役割を果たすと考えているユヌスは、貧困および社会的排除の撲滅を目指すソーシャルエコノミーの推進という観点の必要性を説く。

 2024 年か、2028 年か。フランスではわりと楽観的な予想が多いが、さてどうなるだろうか。

 

◇初出=『ふらんす』2017年9月号

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著者略歴

  1. 芦立一義(あしだて・かずよし)

    パリ第12大学Master2(哲学)修了。仏哲学

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